• DX・業務効率化

二重入力をなくすには?システム連携で業務を効率化

二重入力をなくすには?システム連携で業務を効率化

「受注データを販売管理に入れたあと、同じ内容を会計ソフトにも入力している」「Excelの台帳と基幹システムの両方を更新しないといけない」──こうした二重入力は、多くの企業で当たり前のように残っています。1回あたりは数分でも、件数が積み重なると大きな工数になり、転記ミスや更新漏れの温床にもなります。

この記事では、二重入力が発生する原因を整理したうえで、解消するための4つの方法(システム統合・API連携・ファイル連携・RPA)の違いと選び方、進め方の手順、費用の目安までを発注者の目線で解説します。

この記事の結論
  • 二重入力の原因は「システムが分断されていること」と「データの正本が決まっていないこと」の2つに集約される
  • 解消方法は大きく統合・API連携・ファイル連携・RPAの4つ。件数・頻度・システムの寿命で選ぶ
  • いきなり全部つなぐのではなく、入力件数×1件あたり時間が大きい箇所から優先的に着手する
  • 連携は作って終わりではなく、エラー時の運用と保守体制まで決めてから発注する
目次
  1. 二重入力とは?なぜ発生するのか
  2. 発生する主な原因
  3. 二重入力がもたらす3つの損失
  4. 二重入力をなくす4つの方法
  5. システム統合:根本から一本化する
  6. API連携:システム同士を直接つなぐ
  7. ファイル連携:CSVで受け渡す
  8. RPA:画面操作を自動化する
  9. どの方法を選ぶべきか:判断の目安
  10. 二重入力を解消する進め方(5ステップ)
  11. 効果試算の例(考え方)
  12. 費用の目安とよくある失敗
  13. 方法別の費用の目安
  14. よくある質問
  15. まとめ

二重入力とは?なぜ発生するのか

二重入力とは、同じデータを複数のシステムや台帳に、人の手で繰り返し入力している状態のことです。たとえば受注情報を販売管理システムに入力し、同じ内容を請求書作成ソフトや会計ソフト、Excelの管理表にも入力するといったケースが典型です。

発生する主な原因

二重入力は担当者の怠慢ではなく、仕組みの問題で発生します。よくある原因は次のとおりです。

  • 部門ごとに別々のツールを導入した:営業は顧客管理SaaS、経理は会計ソフト、倉庫はExcelと、部門最適で導入した結果データがつながっていない
  • システム同士に連携機能がない:古いパッケージや自社開発システムにデータの出し入れの口(API)がない
  • データの正本が決まっていない:「顧客情報はどこが正しいのか」が曖昧で、複数箇所で更新している
  • 取引先の書式に合わせている:紙やPDFで届く注文書を、そのまま手入力している
  • 一時的な運用が定着した:システム導入時の暫定対応だったExcel管理が、そのまま残っている

二重入力がもたらす3つの損失

工数の損失同じ作業を2回以上行うため、入力件数に比例して人件費がかさむ。繁忙期ほど負担が増える
品質の損失転記ミス・更新漏れでシステム間のデータが食い違い、請求漏れや在庫差異の原因になる
判断の損失どの数字が正しいか確認する作業が発生し、経営判断に使うデータの鮮度と信頼性が落ちる

特に見落とされやすいのが品質の損失です。入力そのものより、食い違ったデータの照合や修正に時間を取られているケースは少なくありません。

二重入力をなくす4つの方法

二重入力の解消方法は、大きく分けて次の4つです。それぞれ得意な場面と注意点が異なります。

二重入力を解消する4つの方法の比較

方法概要向いているケース注意点
システム統合複数のシステム・台帳を1つのシステムにまとめる既存システムが老朽化している/Excel管理が多い費用と期間が最も大きい。業務の見直しも伴う
API連携システム同士をプログラムで直接つなぎ、自動でデータを受け渡す両方のシステムにAPIがある/リアルタイム性が必要相手システムの仕様変更に追従する保守が必要
ファイル連携CSVなどのファイルを出力・取り込みしてデータを移すAPIがない/1日1回などのバッチ処理で足りる取り込み操作が残る場合がある。形式のズレに注意
RPAソフトウェアロボットが人の画面操作を代行する画面操作しか手段がない/短期間で効果を出したい画面変更で止まりやすい。恒久策には向かない場合も
※実際の選択は、対象システムの仕様・件数・更新予定によって変わります

システム統合:根本から一本化する

複数に分かれた管理を1つのシステムに統合する方法です。データの正本が1か所になるため、二重入力は原理的になくなります。販売管理と在庫管理がExcelと別システムに分かれている場合などは、統合によって業務全体がシンプルになります。一方で、業務フローの見直しや既存データの移行が必要になり、費用・期間ともに大きくなります。

API連携:システム同士を直接つなぐ

API(Application Programming Interface)とは、システム同士がデータをやり取りするための窓口です。受注が登録されたら自動で会計ソフトに仕訳データを送る、といった連携が可能になります。近年のSaaSの多くはAPIを公開しているため、既存のツールを活かしたまま二重入力をなくせるのが利点です。

ファイル連携:CSVで受け渡す

一方のシステムからCSVファイルを出力し、もう一方に取り込む方法です。APIがない古いシステムでも使えることが多く、比較的低コストで始められます。取り込み前のデータ変換(項目の並び替えやコード変換)を自動化するだけでも、手入力に比べて大幅に工数を減らせます。

RPA:画面操作を自動化する

RPA(Robotic Process Automation)は、人がパソコン上で行う操作をロボットに記録・再現させる技術です。システム側に手を入れずに済むため導入は早いものの、画面レイアウトの変更やエラー時に止まりやすいという弱点があります。長く続く業務の恒久策としては、API連携やシステム改修のほうが安定するケースが多くあります。

どの方法を選ぶべきか:判断の目安

方法の選択は、「件数と頻度」「リアルタイム性」「既存システムの寿命」の3点で考えると整理しやすくなります。

連携(API・ファイル)が向く

  • 既存システムがあと5年程度は使える見込み
  • それぞれのシステムに業務上の満足度が高い
  • 二重入力が特定の1〜2か所に限られている
  • APIやCSV出力の機能がある

統合(再構築)を検討すべき

  • 既存システムの保守切れ・老朽化が近い
  • Excelや紙の台帳が多数あり、分断が広範囲
  • 連携先が多く、つなぐほど複雑になる
  • データの正本がどこか社内で説明できない

連携ポイントが3つ、4つと増えていくと、連携プログラム自体の保守が負担になります。「つなぐ」か「まとめる」かは、目先の費用だけでなく数年先の保守まで含めて比較することが大切です。

二重入力を解消する進め方(5ステップ)

  1. 二重入力の棚卸しどのデータを、誰が、どのシステムに、月何件入力しているかを一覧にする。転記元と転記先を矢印で書き出すと全体像がつかめる
  2. 効果の大きい箇所を特定「月間件数×1件あたりの入力時間」で工数を試算し、ミスが起きたときの影響度も加えて優先順位をつける
  3. データの正本を決める顧客マスタは販売管理、品目マスタは在庫管理など、項目ごとに「どこで入力し、どこへ流すか」を決める
  4. 方法の選択と見積もり対象システムのAPI・CSV出力の有無を確認し、連携か統合かを判断。複数の方法で見積もりを取って比較する
  5. 小さく導入し、運用を決める最優先の1か所から導入。連携エラー時の通知先、手動でのリカバリー手順、担当者を決めておく

ステップ1の棚卸しは、業務フロー図として整理しておくと、そのまま開発会社への説明資料にも使えます。

効果試算の例(考え方)

たとえば、1件5分かかる転記作業が月600件あれば、月50時間の工数です。これに照合・修正の時間を加えると、実際の負担はさらに大きくなります。下の図は、二重入力にかかる時間の内訳のイメージです。

二重入力にかかる時間の内訳(イメージ)

転記入力大
照合・突き合わせ中
ミスの修正・問い合わせ対応中〜小
どれが正しいかの確認小
※一般的な傾向を示したイメージで、実測値ではありません。自社の業務で計測して判断してください

費用の目安とよくある失敗

方法別の費用の目安

方法初期費用の目安期間の目安
ファイル連携(取り込みツール作成)数十万〜150万円程度1〜2か月
API連携(1連携あたり)50万〜300万円程度1〜3か月
システム統合・再構築500万〜数千万円程度6か月〜1年以上

いずれも対象システムの仕様やデータ量、変換ルールの複雑さで大きく変わるため、あくまで目安です。運用開始後は、年間で開発費の10〜15%程度の保守費を見込んでおくと安心です。

よくある失敗連携を作ったものの、エラー時に誰も気づかずデータが欠落していた、というケースは珍しくありません。また、連携先SaaSの仕様変更で突然動かなくなることもあります。「エラー通知」「再実行の手順」「仕様変更時の保守」の3点は、発注時に必ず確認しましょう。
オーバーエックスの考え方オーバーエックスでは、二重入力のご相談を受けた際、まず「どこをつなぐか」ではなく「データの正本をどこに置くか」から一緒に整理します。そのうえで、既存システムを活かしたAPI・ファイル連携で十分なのか、統合・再構築まで踏み込むべきかを、保守費用も含めて比較できる形でご提案しています。連携開発・既存システムの改修・業務システムの再構築のいずれにも対応しています。

よくある質問

二重入力はExcelのマクロで解消できますか?
Excel同士の転記や、CSVの整形程度であればマクロで効率化できます。ただし作成者しか中身がわからない状態になりやすく、担当者の異動で使えなくなるリスクがあります。長く使う仕組みなら、システム側での連携を検討するのがおすすめです。
SaaS同士を連携させるのにも開発は必要ですか?
SaaSによっては標準の連携機能や連携サービスで、開発なしにつなげる場合があります。項目の変換が複雑な場合や、標準連携にない組み合わせの場合は、API連携の開発が必要になります。
連携と統合、どちらが安く済みますか?
初期費用は連携のほうが安く済むことが多いです。ただし連携箇所が増えるほど保守の手間と費用が積み上がるため、5年程度の総費用で比較すると統合のほうが合理的になるケースもあります。
取引先から紙やPDFで届く注文書の手入力もなくせますか?
取引先にWeb発注やEDIへの移行をお願いする方法と、AI-OCRで読み取って取り込む方法があります。取引先の協力が得られるかどうかで、現実的な選択肢が変わります。

まとめ

二重入力は、システムの分断とデータの正本の曖昧さから生まれます。解消方法には統合・API連携・ファイル連携・RPAの4つがあり、件数や頻度、既存システムの寿命によって最適な手段は変わります。まずは二重入力の棚卸しをして工数を見える化し、効果の大きい箇所から小さく始めることが成功の近道です。

OX

TechBase 編集部(株式会社オーバーエックス)

東京・秋葉原のシステム開発会社。業務システム・Webシステム・基幹システムの受託開発、自社パッケージ開発、ITコンサルティングを手がけています。オーバーエックスの特徴を見る

この記事に関連するサービス 業務システム開発 顧客管理、案件管理、在庫管理、見積・請求など、社内業務を効率化するシステムを開発します。Excel・Access・紙で行っている業務を整理し、自社の業務の流れに合わせたシステムにし… サービスの詳細を見る

Contact

今すぐ無料相談

全国対応

Page Top