社内のファイルサーバー・NASをクラウドストレージへ移す|法人向けの選び方と移行手順・ランサムウェア対策

PRこの記事にはPRを含みます
社内のファイルサーバーやNAS(ネットワークにつなぐ共有用のハードディスク)が古くなり、「買い替えるか、クラウドストレージに移すか」で迷っている会社は多いのではないでしょうか。テレワークや外出先から資料を見たい、機器の故障やランサムウェアが心配、管理できる人がいない、といった理由から、クラウドへの移行を検討するケースが増えています。
この記事では、法人向けクラウドストレージを選ぶときの基準と、ファイルサーバー・NASから移すときの手順を、アクセス権・共有リンク・バックアップ・ランサムウェア対策の観点で整理します。IT担当者が少ない中小企業でも進められるよう、つまずきやすい点もあわせて解説します。
- クラウドストレージに移すと、機器の故障・買い替えの心配がなくなり、社外からも安全に使いやすくなります。一方で、大容量のファイルを頻繁に扱う業務は、通信速度の確認が必要です。
- 選ぶときは、容量や料金だけでなく、権限の細かさ、共有リンクの制限、操作ログ、過去の版への復元、二段階認証・IP制限を確認しましょう。
- クラウドストレージはそれだけではバックアップになりません。ランサムウェアで暗号化されたファイルが同期されることもあるため、版の復元と別の場所へのバックアップを組み合わせます。
- 移行は「棚卸し→フォルダと権限の設計→試験移行→本番移行→旧NASの読み取り専用化」の順で、並行期間を設けて進めるのが安全です。
- 権限設定・共有リンク
- 過去のファイルの復元
- IP制限・二段階認証・操作ログ
目次
法人向けクラウドストレージとは
法人向けクラウドストレージとは、インターネット上のサーバーにファイルを保存し、社員や取引先と共有できるサービスのうち、組織での管理機能(ユーザー・権限・ログなど)を備えたものです。社内のファイルサーバーやNASの代わりとして使えます。
個人向けのサービスとの大きな違いは、管理者が社員のアカウントや権限をまとめて管理でき、誰がいつどのファイルを操作したかを記録できる点です。退職者のアカウントを止める、部署ごとに見られるフォルダを分ける、といった運用が会社として行えます。
ファイルサーバー・NASとクラウドストレージの違い
社内のNASとクラウドストレージの比較
| 項目 | 社内のファイルサーバー・NAS | クラウドストレージ |
|---|---|---|
| 機器の管理 | 自社で購入・保守。数年ごとに買い替え | サービス会社が管理。機器の買い替えは不要 |
| 社外からの利用 | VPNなどの準備が必要 | インターネットがあれば使える(制限も可能) |
| 大容量ファイルの速さ | 社内ネットワークで速い | 回線速度に左右される |
| 費用の形 | 購入時にまとめて発生 | 月額・年額で継続的に発生 |
| 災害・故障への強さ | 社内に置くため、火災や故障の影響を受けやすい | サービス会社のデータセンターに保存される |
| 権限・ログの管理 | 機器の設定次第。担当者の知識が必要 | 管理画面で設定できるものが多い |
CADデータや動画など、数百MB〜数GBのファイルを毎日何度も開く業務では、クラウドに移すと待ち時間が増えることがあります。こうした業務がある場合は、その部署だけ社内の保存先を残す、同期アプリで手元に置く、といった組み合わせも検討しましょう。
関連記事オンプレミスとクラウドの違い|業務システムはどちらを選ぶべきか
法人で選ぶときに確認すること
容量と料金だけで比べると、移行後に「共有の制限ができない」「誰が消したのかわからない」といった問題が起きがちです。次の項目を確認しましょう。
- 料金の数え方:ユーザー数ごとの課金か、容量ごとの定額か。取引先や派遣社員にもアカウントを発行するなら、ユーザー数の上限も確認
- 権限の細かさ:部署・グループ単位、フォルダ単位で「閲覧のみ」「編集可」を分けられるか
- 共有リンクの制限:社外に共有するリンクに、パスワードや有効期限を設定できるか。共有リンクそのものを禁止できるか
- ログイン時の保護:二段階認証、パスワードの規則、接続元のIPアドレスによる制限ができるか
- 操作ログ:誰がいつファイルをアップロード・削除・共有したかを、管理者が確認できるか
- 過去の版への復元:上書きや削除の前の状態に戻せるか。何世代・何日分残るか
- アカウント管理の連携:Active Directoryなど、社内のアカウント管理と連携できるか
- データの保管場所とサポート:国内のデータセンターか、電話サポートの有無、第三者認証(ISMSなど)の取得状況
費用を比べるときは、月額料金だけを見るのではなく、NASを使い続けた場合の総額と並べて考えるのがおすすめです。NASの側には、本体の買い替え、故障時の修理や復旧作業、停電対策の機器、社外から使うためのVPNの用意、設定を見直す担当者の手間などがかかっています。クラウドストレージの側は、ユーザー数や容量が増えたときに料金がどう変わるかを確認しておきましょう。5年程度の期間で比べると、判断しやすくなります。
関連記事IP制限・固定IPで管理画面と社内システムを守る|仕組みと、テレワーク・委託先から接続するときの使い方
クラウドでもランサムウェア対策とバックアップは必要
IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向けの脅威として「ランサム攻撃による被害」が11年連続で選ばれ、1位になっています。ランサムウェアとは、パソコンやサーバーのデータを暗号化して使えなくし、元に戻すことと引き換えに金銭を要求する攻撃です。
クラウドストレージに移せば安全、というわけではありません。同期アプリを使っている場合、パソコンの中で暗号化されたファイルが、そのままクラウド側にも上書きで同期されることがあります。誤って大量のファイルを消した場合も同じです。
また、クラウドストレージのアカウントが乗っ取られると、社外から全ファイルを持ち出されるおそれがあります。二段階認証は全員に必須にし、管理者アカウントは特に厳しく守りましょう。
ファイルサーバー・NASから移す手順
- 棚卸しをする保存されているデータの量、フォルダの構成、部署ごとの使い方、もう使っていないデータを確認する
- フォルダと権限を設計する移行を機に、部署・用途ごとのフォルダ構成と、誰が見られる・編集できるかを決め直す
- ルールを決める社外共有の可否と方法、ファイル名の付け方、個人のパソコンに保存してよいものを決める
- 一部の部署で試す実際の業務で使い、速度、同期アプリの動作、Excelのリンク切れなどを確認する
- 本番の移行をする週末などにデータを移し、移行後の件数や容量を元のNASと照合する
- 旧NASを読み取り専用にするしばらくは参照用に残し、問題がないことを確認してから撤去・データ消去を行う
データを移すだけでなく、「どこに何を保存するか」のルールを社員に伝えることも大切です。ルールがないまま移すと、NASで起きていた「同じファイルがあちこちにある」「最新版がわからない」という状態がクラウドでも続きます。
- 権限設定・共有リンク
- 過去のファイルの復元
- IP制限・二段階認証・操作ログ
エックスサーバー株式会社の「XServerドライブ」は、国内運営の法人向けクラウドストレージです。2026年10月時点の公式サイトでは、グループ・ユーザー単位の権限設定、パスワードと有効期限を設定できる共有リンク、過去のファイルを復元できるバージョン機能、IPアドレスによるアクセス制限、二段階認証、ユーザー・管理者の操作ログなどの機能が案内されています(プランによってはActive Directory連携にも対応)。料金とプランごとの容量は公式サイトで確認してください。XServerドライブ
よくある質問
- クラウドストレージに移せば、バックアップは不要になりますか?
- 不要にはなりません。誤操作やランサムウェアで変更された内容も同期されるため、過去の版への復元機能に加えて、重要なデータは別の場所にもバックアップしておくことをおすすめします。
- NASとクラウドストレージを併用してもよいですか?
- 併用は可能です。大容量のファイルを扱う部署だけ社内に残す、といった使い分けもあります。ただし、保存場所が増えると「どこに最新版があるか」がわかりにくくなるため、用途ごとの保存先をルールで決めておきましょう。
- 取引先とのファイルのやり取りにも使えますか?
- 共有リンクやゲスト用のアカウントで使えるサービスが多くあります。社外への共有には、パスワードと有効期限を設定し、誰に何を共有したかを記録できるようにしておくと安心です。
- 退職者のデータはどうすればよいですか?
- 退職時にアカウントを止める前に、業務で必要なファイルの持ち主を後任者に移す手順を決めておきます。個人のフォルダに業務データをためない運用にしておくと、引き継ぎが楽になります。
- 移行にはどれくらいの期間がかかりますか?
- データ量や部署の数、整理の度合いによって大きく変わります。棚卸しと権限の設計に時間がかかることが多いため、データを移す作業そのものより、準備の期間を多めに見込んでおきましょう。
まとめ
ファイルサーバーやNASをクラウドストレージに移すと、機器の管理から解放され、社外からも使いやすくなります。選ぶときは権限・共有リンク・ログ・版の復元・ログイン時の保護まで確認し、クラウドに移したあともランサムウェアに備えたバックアップを続けることが大切です。移行は棚卸しと権限の設計から始め、並行期間を設けて段階的に進めましょう。
関連記事クラウドPC(DaaS)とは|VDIとの違いと、中小企業のテレワーク・PC管理での使いどころ・向かない業務
参考:IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」、XServerドライブ公式サイト「機能一覧」(2026年10月時点)。
この記事に関連するサービス
業務システム開発
顧客管理、案件管理、在庫管理、見積・請求など、社内業務を効率化するシステムを開発します。Excel・Access・紙で行っている業務を整理し、自社の業務の流れに合わせたシステムにし… サービスの詳細を見る



