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AIとRPAの違い|置き換えか組み合わせか、業務の性質で見る使い分けと、AIが判断しRPAが実行する組み合わせの設計

AIとRPAの違い|置き換えか組み合わせか、業務の性質で見る使い分けと、AIが判断しRPAが実行する組み合わせの設計

「RPAを入れて数年たつが、生成AIが出てきたので、RPAはもう要らないのでは」「AIとRPA、どちらに投資すべきか分からない」。業務の自動化を進めてきた会社ほど、こうした疑問を持つようになっています。AIエージェントがパソコンを操作する、といったニュースを見ると、RPAの役割がなくなるように感じるかもしれません。

この記事では、AIとRPAの違いを仕組みから整理し、AIがRPAを置き換える場面、組み合わせたほうがよい場面、どちらでもなくシステム連携で解決すべき場面を解説します。結論から言えば、多くの業務では「置き換え」よりも「役割分担」が現実的です。

この記事の結論
  • RPAは決められた手順を、毎回同じように正確に繰り返すのが得意です。AIは読む・判断する・文章を作るといった、手順を決めきれない作業が得意です。
  • 「AIがRPAを置き換える」のは、判断や例外が多く、RPAのシナリオでは対応しきれなかった業務が中心です。
  • 多くの業務では、AIが読み取り・判断し、RPAやシステムが登録・転記するという組み合わせが効果的です。
  • どちらを使う場合も、システム同士をAPIでつなげるなら、それが最も確実です。RPAもAIも、画面操作で代わりをするのは「つなげない場合の手段」と考えましょう。
目次
  1. AIとRPAの違いとは
  2. RPAが苦手で、AIが得意なこと
  3. 置き換えか、組み合わせか:判断の目安
  4. 組み合わせるときの設計のポイント
  5. よくある質問
  6. まとめ

AIとRPAの違いとは

AIとRPAの違いとは、RPAが「決められた手順を実行する仕組み」であるのに対し、AIは「データから読み取り、判断や生成を行う仕組み」であることです。

RPA(Robotic Process Automation)について、総務省の「自治体におけるRPA導入ガイドブック」は、普段人が行う定型的なパソコン操作を、ソフトウェアのロボットが代わりに行って自動化するもの、と説明しています。たとえば「毎朝、システムから売上データをダウンロードし、Excelに貼り付け、メールで送る」といった、手順が決まった作業を自動で繰り返します。

一方、ここでいうAIは、主に生成AIを指します。生成AIとは、文章などを新しく作り出すAIのことで、メールの内容を読んで用件を分類する、PDFの注文書から必要な項目を抜き出す、問い合わせへの回答の下書きを作る、といったことができます。

AIとRPAの比較

観点RPAAI(生成AI)
得意なこと決められた手順の正確な繰り返し(転記・ダウンロード・登録・送信)読む・分類する・要約する・文章を作る・あいまいな入力を解釈する
動き方人が作ったシナリオ(手順書)どおりに動く指示(プロンプト)とデータから、その都度答えを作る
結果の安定性同じ入力なら同じ結果同じ入力でも結果が少し変わることがある。誤りを含むこともある
苦手なこと手順にない例外、画面の変更、形式がばらばらの書類大量の処理を毎回同じ精度で行うこと、計算や照合を厳密に行うこと
止まり方・間違い方想定外のことが起きると止まる(エラーで気づける)想定外のことが起きても、それらしい答えを出してしまうことがある
AIの中には、画像認識や需要予測などの機械学習も含まれます。その違いは別の記事で解説します。

特に押さえておきたいのは、最後の「間違い方」の違いです。RPAは想定外のことが起きると止まるため、人が気づけます。生成AIは、想定外の入力にも何らかの答えを返すため、間違いに気づきにくいことがあります。これをハルシネーションと呼びます。この性質の違いが、役割分担を考えるうえでの出発点になります。

RPAが苦手で、AIが得意なこと

総務省のガイドブックでは、RPAは入力とシナリオどおりに動くため、状況に応じてその都度判断することはできず、判断が不要な(または判断の条件をすべて定義しきれる)作業だけを切り出して任せることになる、と説明しています。RPAを導入した多くの会社がぶつかるのが、この「判断の壁」です。

  • 形式がばらばらの書類:取引先ごとに様式が違う注文書や請求書は、RPAでは読む位置を決められません。AIなら、様式が違っても必要な項目を探して抜き出せます
  • 文章の内容による振り分け:問い合わせメールを「見積依頼」「納期確認」「クレーム」に分けるといった作業は、キーワードだけでは判定しきれません。AIは文章の意図をくみ取って分類できます
  • 表記ゆれの吸収:「(株)〇〇」「株式会社〇〇」「〇〇社」を同じ取引先と判断する、といった作業はAIが得意です
  • 文章の作成:定型文の組み合わせでは対応できない回答や、報告書の下書きはAIの領域です

総務省のガイドブックでも、RPAとAI-OCR(AIで文字を読み取る技術)の組み合わせは相性が良く、紙の書類をデータにしてシステムに入力する一連の作業を効率化できると紹介されています。生成AIの登場で、この「読む」部分で扱える書類の幅が広がっています。

置き換えか、組み合わせか:判断の目安

AIとRPAの関係は、業務の性質によって次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。

業務の性質と、向いている自動化の方法

業務の性質例向いている方法
手順が決まっていて、入力の形式もそろっているシステムからのデータ出力と転記、定期的なレポートの送信RPA(またはシステム連携)のままでよい。AIに置き換える必要は少ない
手順は決まっているが、入力の形式がばらばら様式の違う注文書・請求書の登録、メールからの受注入力組み合わせ:AIが読み取り、人が確認し、RPAやシステムが登録する
判断や例外が多く、手順を決めきれない問い合わせの振り分けと一次回答、例外処理の多い事務AIが中心。ただし最終判断や重要な操作は人が確認する
そもそもシステム同士をつなげる販売管理と会計ソフトの間の転記API・CSVでのシステム連携。RPAもAIも不要なことが多い

「AIがRPAを置き換える」と言われるのは、主に3行目のような業務です。RPAで自動化しようとしたが、例外が多くてシナリオが複雑になり、結局人が対応していた業務は、AIを使うことで自動化できる範囲が広がる可能性があります。

一方、1行目のように、決まった手順を正確に繰り返す業務では、AIに置き換えるメリットは小さく、かえって結果が安定しない、処理のたびにAIの利用料がかかる、といったデメリットが出ることもあります。うまく動いているRPAを、AIという理由だけで作り直す必要はありません。

AIエージェントはRPAの代わりになるか最近は、生成AIが画面を見ながらパソコンやブラウザを操作する「AIエージェント」も登場しています。AIエージェントとは、目的を伝えると、自分で手順を考えてツールを使い、作業を進めるAIの仕組みです。画面の変化や例外に柔軟に対応できる可能性がある一方で、毎回同じ動きをする保証はなく、誤った操作をするおそれもあります。2026年10月時点では、大量の定型処理を任せるよりも、人が確認できる範囲の作業から試すのが現実的です。

組み合わせるときの設計のポイント

AIとRPAを組み合わせる場合、「AIが判断し、RPAやシステムが実行する」という役割分担が基本です。設計では次の点に注意しましょう。

  1. AIの出力の形を決めるAIには、取引先名・品番・数量・納期などの項目に分けた決まった形式で結果を出させます。RPAやシステムが受け取りやすい形にすることで、後の処理が安定します
  2. 確信度の低いものは人に回す読み取れなかった項目や、マスタに一致しない値があったものは、自動で登録せずに確認待ちにします
  3. 人の確認を挟む金額や数量など、間違えると影響が大きい項目は、登録の前に人が確認する画面を用意します
  4. 登録はRPAかシステム連携で確認済みのデータの登録は、手順が決まっているのでRPAやAPI連携に任せます
  5. 記録と見直しAIが誤った例、RPAが止まった例を記録し、指示文やシナリオの改善につなげます

RPAには、操作する画面が変わると止まる、シナリオを作った人しか直せない、といった限界もあります。RPAが増えすぎて管理が難しくなっている場合は、AIを足す前に、システム同士を直接つなぐことを検討したほうがよいこともあります。

想定ケース:メール注文の受注入力(架空の例)この例は、よくある状況をもとにした架空のモデルケースです。実在の企業の事例ではありません。
従業員45名の資材卸の会社。取引先からの注文が、メール本文・PDF・Excelなど様々な形式で月1,200件届きます。以前、RPAでメールの添付ファイルを読み取って販売管理システムに登録しようとしましたが、取引先ごとに様式が違い、シナリオを用意できたのは全体の2割の取引先だけでした。残りは事務担当者が1件6分かけて入力しており、月約96時間かかっています(960件×6分)。
AIで注文の内容を読み取り、取引先・品番・数量・納期の項目に分けて確認画面に表示し、担当者が確認したものをRPAで販売管理システムに登録する仕組みにした場合を考えます。確認に1件1.5分かかるとすると、960件×4.5分=月72時間程度の削減という試算です。品番がマスタと一致しない注文は、自動では登録せずに確認待ちにします。
うまくいく条件:品番や取引先のマスタが整っていること。確認画面で修正した内容を記録し、よくある誤りを指示文に反映できること。
つまずきやすい点:手書きのFAXや、品番ではなく商品名の略称で書かれた注文は、読み取りの誤りが増えます。また、販売管理システムの画面が改修されるとRPAが止まるため、システム側にデータを取り込む仕組み(API・CSV)があれば、そちらを使うほうが安定します。
自動化の予算感を先に知りたい方へ
作りたい機能や規模を選ぶだけで、開発費用の目安がわかる開発費用の概算シミュレーターを用意しています。RPAの見直しやシステム連携を検討する際の予算づくりにご活用ください。
オーバーエックスのAI業務改善・AIシステム開発オーバーエックスでは、RPAで自動化している業務、自動化しきれなかった業務を棚卸しし、AI・RPA・システム連携のどれが向いているかの整理から対応します。生成AIによる書類の読み取りと既存システムへの登録、APIやCSVでのシステム連携、導入後の運用まで、業務に合わせて組み合わせます。費用は対象の業務や連携するシステムによって変わるため、個別にお見積もりします。詳しくはAI業務改善・AIシステム開発のページ、またはお問い合わせからご相談ください。

よくある質問

RPAはもう古い技術ですか?
古くなったわけではありません。決まった手順を正確に繰り返すことは、今でもRPAが得意な領域です。生成AIの登場で変わったのは、RPAだけでは対応できなかった「読む・判断する」部分を補えるようになったことです。
今動いているRPAをAIに置き換えるべきですか?
問題なく動いているなら、置き換える必要はありません。シナリオの修正が頻繁に必要、例外が多くて人の手作業が残っている、といったRPAから、AIとの組み合わせを検討しましょう。
AIとRPA、どちらから始めればよいですか?
業務によります。手順が決まっていて入力の形式もそろっているならRPAやシステム連携、書類の形式がばらばらで判断が必要ならAIが向いています。まずは対象業務の手順と例外を書き出すことから始めましょう。
RPAツールにもAI機能が付いていますが、それで十分ですか?
RPAツールに組み込まれたAI機能で足りる業務もあります。製品の機能は変わりやすいため、提供元の最新情報を確認してください。社内のマスタや既存システムのデータと照合しながら判断したい場合は、システム側での設計が必要になることがあります。

まとめ

RPAは決められた手順を正確に繰り返す仕組み、AIは読む・判断する・文章を作る仕組みです。AIがRPAを置き換えるのは、判断や例外が多く、RPAでは対応しきれなかった業務が中心で、決まった手順の作業はRPAやシステム連携のままで十分なことが多くあります。多くの業務では、AIが読み取り・判断し、人が確認し、RPAやシステムが登録するという組み合わせが効果的です。そして、システム同士を直接つなげるなら、それが最も確実な方法です。

参考:総務省「自治体におけるRPA導入ガイドブック」(2025年7月)。

OX

TechBase 編集部(株式会社オーバーエックス)

東京・秋葉原のシステム開発会社。業務システム・Webシステム・基幹システムの受託開発、システムリプレイス、自社パッケージ開発、要件定義の支援を手がけています。オーバーエックスの特徴を見る

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