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生成AIと機械学習(従来のAI)の違い|得意なこと・必要なデータと、業務ごとの使い分け・組み合わせ方

生成AIと機械学習(従来のAI)の違い|得意なこと・必要なデータと、業務ごとの使い分け・組み合わせ方

「AIといえばChatGPTのような生成AIのこと」と思っていませんか。実は、需要予測や不良品の検出、不正の検知など、生成AIが話題になる前から業務で使われてきたAIがあります。一般に「機械学習」や「従来のAI」と呼ばれるものです。両者は得意なことが違うため、業務によっては生成AIより従来のAIのほうが向いている場合もあります。

この記事では、生成AIと機械学習(従来のAI)の違いを、専門用語をできるだけ使わずに整理します。そのうえで、業務ごとにどちらを使うべきか、組み合わせて使う方法、導入するときの準備の違いまで、発注者の目線で説明します。

この記事の結論
  • 生成AIは文章・画像などを「作る」のが得意で、従来の機械学習は数値やデータから「当てる・見分ける」のが得意です。
  • 生成AIは汎用的に作られたモデルをそのまま使えるため、自社の学習データがなくても始めやすい一方、数値の予測や大量データの正確な判定には向かないことがあります。
  • 需要予測や外観検査のように「正解が数値や分類で決まる」業務は従来の機械学習、文書の読み取り・要約・問い合わせ対応のように「言葉を扱う」業務は生成AIが向いています。
  • 実際のシステムでは、両方を組み合わせることも多くあります。どちらかに決めつけず、業務の目的から選ぶことが大切です。
目次
  1. 生成AIと機械学習(従来のAI)とは
  2. いちばん大きな違いは「データの準備」
  3. 従来のAIは、自社のデータで学習させる
  4. 生成AIは、学習済みのモデルをそのまま使える
  5. 業務ごとの使い分け
  6. 組み合わせて使う方法
  7. 導入の進め方と、よくあるつまずき
  8. 自社でできること、専門の会社に頼んだほうがよいこと
  9. よくある質問
  10. まとめ

生成AIと機械学習(従来のAI)とは

生成AIとは、文章、画像、音声などを新しく作り出すことができるAIの総称です。総務省の情報通信白書(令和6年版)では、生成AIを「テキスト、画像、音声などを自律的に生成できるAI技術の総称」と説明しています。ChatGPT、Claude、Geminiなどが代表的で、その中心にはLLM(大規模言語モデル:大量の文章で学習した、言葉を扱うAIの仕組み)があります。

機械学習とは、データからパターンを学び、予測や判定を行うAIの技術です。過去の売上データから来月の需要を予測する、製品の画像から不良品を見分ける、取引データから不正の疑いがあるものを見つける、といった使い方が代表的です。生成AIも広い意味では機械学習の一種ですが、この記事では、生成AIが登場する前から業務で使われてきた「予測・分類・判定のための機械学習」を「従来のAI」と呼んで区別します。

生成AIと従来のAIの違い

項目生成AI従来のAI(予測・分類の機械学習)
得意なこと文章の作成・要約・翻訳、質問への回答、書類からの情報の読み取り、画像の生成数値の予測、分類、異常の検知、画像の判定
出力文章や画像など、毎回少しずつ違うことがある数値やラベル(「良品/不良品」など)。同じ入力なら基本的に同じ結果
学習データ提供元が大量のデータで学習済み。自社データなしでも使い始められる多くの場合、自社の過去データで学習させる必要がある
使い始め方APIやツールで、指示文(プロンプト)を工夫して使うデータを集め、モデルを学習させ、精度を検証してから使う
苦手なこと正確な計算、大量データの集計、根拠のない事実の回答(もっともらしい誤り=ハルシネーション)学習していない種類の入力、文章のような形の決まっていない情報
主な費用の考え方APIの従量課金(使った量に応じた課金)が中心データの準備とモデルの学習・検証の工数が中心
どちらの方式でも、システムに組み込むには画面や既存システムとの連携の開発が必要です。

いちばん大きな違いは「データの準備」

発注者の立場で最も大きな違いは、自社でどれだけデータを用意する必要があるかです。

従来のAIは、自社のデータで学習させる

需要予測なら過去数年分の販売実績、外観検査なら良品と不良品の画像を、数多く集めて学習させる必要があります。不良品がめったに出ない工場では、不良品の画像が足りないことが壁になります。データが整っていれば高い精度を出せますが、データ集めと整理に時間がかかるのが特徴です。

生成AIは、学習済みのモデルをそのまま使える

生成AIは、提供元がすでに大量のデータで学習させたモデルを、APIなどで呼び出して使います。自社の業務に合わせるときも、多くの場合はモデルを学習し直すのではなく、指示文の工夫や、社内文書を検索して渡す仕組み(RAG:社内文書を検索し、その内容をもとにAIに答えさせる方法)で対応します。そのため、自社に学習用のデータがなくても始めやすいのが特徴です。

ただし、生成AIでも「データ不要」ではありません。参照する社内文書が古い、散らばっているといった状態では、正しい答えは返ってきません。また、精度を確かめるための評価データ(問題と正解のセット)は、どちらの方式でも必要です。

業務ごとの使い分け

どちらを使うかは、「その業務で、AIに何をしてほしいか」で決まります。代表的な業務で整理すると次のとおりです。

業務ごとの向き・不向きの目安

業務向いている方式理由
需要予測・発注量の計算従来のAI(または統計的な手法)過去の数値から将来の数値を当てる業務。生成AIは数値の予測そのものには向かない
製品の外観検査従来のAI(画像認識)大量の画像を、同じ基準で高速に判定する必要がある
設備の故障の予兆検知従来のAIセンサーの数値の変化から異常を見つける
FAX・PDFの注文書や請求書の読み取り生成AI(従来のAI-OCRとの組み合わせも)書式がばらばらでも、項目の意味を理解して読み取れる
社内規程・マニュアルへの問い合わせ対応生成AI(RAG)言葉で書かれた文書を探し、質問に合わせて答えを作る
議事録・日報・報告書の作成生成AI話し言葉やメモを、決まった形式の文章にまとめる
問い合わせメールの分類・振り分けどちらも可件数が多く過去の分類データがあれば従来のAI、少なく種類が変わりやすければ生成AIが始めやすい
売上データの集計・分析生成AI+通常のプログラム集計は通常のプログラムやデータベースで正確に行い、生成AIは質問の受付や結果の説明を担当する
あくまで目安です。業務の件数、データの有無、求める精度によって最適な方式は変わります。
AIを使わないほうがよい場合もある「この条件ならこの処理」とルールで決められる業務は、AIではなく通常のプログラムで作ったほうが、正確で安く、保守もしやすいことが多くあります。たとえば消費税の計算や、決まった形式のCSVの取り込みにAIは不要です。AIは「ルールで書ききれない部分」に使うのが基本です。

組み合わせて使う方法

実際の業務システムでは、生成AIと従来のAI、通常のプログラムを組み合わせることがよくあります。それぞれの得意なところを担当させるイメージです。

  1. 製造業の品質管理従来のAIが画像から不良の疑いを判定し、生成AIが判定結果と過去の不具合記録をもとに、品質報告書の下書きを作る
  2. 卸売業の受注生成AIが注文書を読み取り、通常のプログラムが品番マスタと照合して在庫を引き当て、従来のAIの需要予測が欠品の可能性を知らせる
  3. 社内データの分析生成AIが「先月の地域別の売上は?」という質問を受け取り、通常のプログラム(データベースの集計)で正確な数字を出し、生成AIが結果をわかりやすく説明する

このように組み合わせると、生成AIの苦手な正確な計算は通常のプログラムに、言葉の理解は生成AIに任せることができます。一方で、仕組みが複雑になるため、どこで何を処理しているかを設計書に残し、保守できる状態にしておくことが大切です。

導入の進め方と、よくあるつまずき

想定ケース:需要予測を生成AIで試そうとした卸売業(架空の例)この例は、よくある状況をもとにした架空のモデルケースです。実在の企業の事例ではありません。従業員80名の食品卸売業で、発注担当者の経験に頼っていた発注量の判断を、AIで支援したいと考えました。最初は、社内で使っている生成AIのチャットに過去の販売実績を貼り付けて「来月の発注量を予測して」と頼みましたが、回答の根拠がはっきりせず、聞くたびに数字が変わるため、業務には使えないと判断しかけました。

改めて整理すると、この業務は「過去の数値から将来の数値を当てる」もので、従来の機械学習や統計的な予測の手法が向いていました。うまくいく条件は、商品ごとの日別の販売実績が数年分そろっていて、特売や欠品の記録も残っていることです。つまずきやすい点は、新商品や季節商品など過去データの少ない商品で、ここは予測を参考値にとどめ、担当者の判断を残す設計が必要です。生成AIは、予測結果の説明文を作る、取引先からの発注メールを読み取るといった部分で使う、という役割分担が考えられます。

このケースのように、「生成AIで試してだめだったからAIは使えない」と判断するのは早すぎることがあります。逆に、従来のAIで大がかりなデータ整備を計画していたものが、生成AIなら小さく始められる場合もあります。方式の選び方を間違えないために、次の順で考えるのがおすすめです。

  • AIにしてほしいことを一文で書く:「注文書から品番と数量を読み取る」「来月の販売数を予測する」など
  • 出力の形を決める:数値か、分類か、文章か。数値・分類なら従来のAI、文章なら生成AIが候補です
  • 使えるデータを確認する:過去の実績データや正解つきの画像があるか、参照する文書がそろっているか
  • ルールで書ける部分を分ける:AIを使わずに済む部分は通常のプログラムにします
  • 小さく試す:試行(PoC)で精度と手間を確かめてから、本格的に開発します

自社でできること、専門の会社に頼んだほうがよいこと

生成AIは、市販のツールで社員が試すところまでは自社で進めやすい技術です。業務の中でどう使えるかを、まず現場で試してみるのは良い出発点です。一方、次のような場合は、専門の会社に相談したほうが、遠回りを避けられます。

方式の選定生成AIか従来のAIか、通常のプログラムで十分かの判断は、経験がないと迷いやすい部分です。
既存システムとの連携販売管理・生産管理などのデータとAIをつなぐには、システム開発の知識が必要です。
精度の評価と運用評価データの作り方、導入後の精度の確認、モデルの変更への対応は、継続的な作業になります。
開発費の目安を確認する
AIを組み込むシステムの規模感をつかむには、開発費用の概算シミュレーターをご利用ください。画面数や連携するシステムを選ぶだけで、開発費の目安を確認できます(登録不要)。
オーバーエックスのAI業務改善・AIシステム開発オーバーエックスでは、業務の内容をうかがったうえで、生成AI・従来のAI・通常のプログラムのどれが向いているかを整理し、試行(PoC)から開発、導入後の運用・保守までご支援しています。業務システムの受託開発を中心にしてきた会社として、既存の販売管理や生産管理などのシステムとAIをつなぐ部分を得意としています。費用は対象業務の範囲や連携するシステムによって個別にお見積もりします。詳しくはAI業務改善・AIシステム開発、ご相談はお問い合わせからどうぞ。

よくある質問

生成AIが登場したので、従来の機械学習はもう不要ですか?
不要にはなっていません。需要予測、外観検査、異常検知など、数値や画像を同じ基準で大量に判定する業務では、従来の機械学習が引き続き使われています。業務の目的によって使い分けるのが基本です。
生成AIで数値の予測はできませんか?
簡単な傾向の説明はできますが、根拠のある予測値を安定して出す用途には向きません。数値の予測は従来の機械学習や統計的な手法で行い、生成AIはその結果の説明や、関連する情報の整理に使う組み合わせがおすすめです。
AI-OCRと生成AIによる読み取りは何が違いますか?
AI-OCRは、文字を認識して決まった位置の項目を読み取るのが得意です。生成AIは、書式がばらばらでも項目の意味を理解して読み取れる点が強みです。書式が決まっている帳票はAI-OCR、取引先ごとに書式が違う帳票は生成AIや両者の組み合わせが向いています。
どちらの方式が費用は安いですか?
一概には言えません。生成AIは始めやすい反面、APIの利用料が使った量に応じてかかります。従来のAIはデータの準備と学習の工数がかかる反面、動かす費用は抑えやすいことがあります。費用は方式よりも、対象業務の範囲、連携するシステム、データの整備状況、求める精度で決まります。

まとめ

生成AIは文章や画像を「作る」こと、従来の機械学習は数値やデータから「当てる・見分ける」ことが得意です。言葉を扱う業務は生成AI、数値の予測や画像の判定は従来のAI、ルールで書ける部分は通常のプログラム、と役割を分けて考えると、業務に合った方式を選べます。どちらか一方に決めつけず、業務の目的とデータの状況から選び、小さく試して確かめることが大切です。

参考:総務省「令和6年版 情報通信白書」「AI進展の経緯と生成AIのインパクト」(2024年)。

OX

TechBase 編集部(株式会社オーバーエックス)

東京・秋葉原のシステム開発会社。業務システム・Webシステム・基幹システムの受託開発、システムリプレイス、自社パッケージ開発、要件定義の支援を手がけています。オーバーエックスの特徴を見る

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