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AIの内製化はどこまでできるか|5つの段階で見るノーコードAIの限界と、業者に頼む範囲・社内に残すこと

AIの内製化はどこまでできるか|5つの段階で見るノーコードAIの限界と、業者に頼む範囲・社内に残すこと

「外注すると高くつくので、AIは社内で何とかしたい」「ノーコードのAIツールなら、IT担当者でなくても作れると聞いた」。生成AIの登場で、AIの活用を自社で進めるハードルは確かに下がりました。一方で、内製で始めたものの、途中で手が止まってしまう企業も少なくありません。

この記事では、AIの内製化がどこまでできるのかを段階に分けて整理し、ノーコードAIツールの限界と、外部の会社に頼んだほうがよい範囲を解説します。「全部内製」か「全部外注」かではなく、自社に合った分担を考えるための材料としてお読みください。

この記事の結論
  • AIの内製化は、ツールの活用 → 社内ルールと使い方の共有 → ノーコードでの小さなアプリ → 業務システムへの組み込み → 本番の運用の順に難しくなります。
  • 中小企業が内製で目指しやすいのは、ノーコードでの小さなアプリまでです。ここまでは社内の人材で十分に成果を出せます。
  • ノーコードAIの限界は、既存システムとの連携、権限とセキュリティ、精度の評価、運用の継続、属人化に現れます。
  • 業務の知識と判断は社内に残し、技術的に難しい部分と、止められない本番の運用を外部に頼むのが、現実的な内製化です。
目次
  1. AIの内製化とは
  2. AI内製化の5つの段階
  3. ノーコードAIツールでできること・限界
  4. 内製で残すべきこと/業者に頼む範囲
  5. 外部の支援を受けながら内製化を進める方法
  6. 想定ケース:ノーコードから業務システムへの切り替え
  7. 内製化を進めるための体制づくり
  8. よくある質問
  9. まとめ

AIの内製化とは

AIの内製化とは、AIを業務に活用するための企画、仕組みづくり、運用を、外部に任せきりにせず、自社の社員が担えるようにすることです。必ずしもすべてを自社で開発することではなく、「何にAIを使うか」「うまくいっているか」を自社で判断できる状態を作ることが本質です。

内製化が求められる背景には、IT人材の不足があります。情報処理推進機構(IPA)の「DX動向2025」によると、DXを推進する人材が不足していると感じている日本企業は85.1%で、米国・ドイツと比べて著しく高い水準です。外部に頼もうにも、発注する側に判断できる人がいなければ、丸投げになってしまいます。内製化は、外注の費用を減らすためだけでなく、外部の会社とうまく付き合うための力をつける意味も持っています。

AI内製化の5つの段階

AIの内製化は、どこまでを自社で担うかによって、必要な知識と体制が大きく変わります。

AI内製化の段階と、必要なもの

段階内容必要な知識・体制内製のしやすさ
1. ツールの活用ChatGPTなどの生成AIツールを、文章作成や要約に使う基本的な使い方、社内ルールしやすい
2. 使い方の共有業務ごとのプロンプト(AIへの指示文)のひな形を作り、社内で共有する業務の知識、まとめ役しやすい
3. ノーコードでの小さなアプリノーコードAIツールで、部署内のFAQや定型作業の自動化を作るツールの操作、AIの特性の理解、テストの方法担当者がいればできる
4. 業務システムへの組み込み基幹システムや社内データとAIをつなぎ、業務の流れに組み込むシステム開発、API連携、データベース、セキュリティ専門人材が必要
5. 本番の運用精度の監視と改善、障害対応、AIモデル・APIの変更への対応運用の体制、監視の仕組み、継続的な担当者体制づくりが必要
段階は目安です。段階4・5も、自社にシステム開発の担当者がいれば内製できますが、中小企業では外部の支援と組み合わせることが多い領域です。

多くの中小企業にとって、段階1〜3は社内の人材で十分に進められます。段階4・5は、システム開発の経験と、止められない仕組みを支える体制が必要になるため、ここが内製と外注の分かれ目になります。

ノーコードAIツールでできること・限界

ノーコードAIツールとは、プログラムを書かずに、画面上の操作でAIを使ったアプリや自動化の流れを作れるツールのことです。DifyやMicrosoftのCopilot Studioなどが知られています。社内文書を参照するチャットボットや、定型の文書作成の自動化を、短期間で作れるのが大きな利点です。

一方で、本格的な業務の仕組みにしようとすると、次のような限界が見えてきます。

  • 既存システムとの連携:基幹システムや販売管理システムにAPIがない場合、ノーコードツールだけではつなげません。システム側の改修や、つなぐための開発が必要です
  • 権限とセキュリティ:社員ごとに見てよい情報を出し分ける、操作の記録を残す、といった要件は、ツールの機能だけでは足りないことがあります
  • 精度の評価:ツールで設定は変えられても、良くなったかを確かめるテストの仕組みは自社で用意する必要があります
  • 複雑な業務の流れ:承認、例外処理、複数の画面にまたがる入力などは、業務システムとして作るほうが向いています
  • 運用の継続:ツールの仕様変更、AIモデルの提供終了、料金の改定に、誰が対応するかを決めておく必要があります
  • 属人化:作った本人しか設定の意図がわからず、異動や退職で止まるリスクがあります

これは、従来のノーコードツールで業務アプリを作るときの限界とよく似ています。違うのは、AIは答えが毎回少しずつ変わり、正しさを確かめ続ける必要があるという点です。

内製で残すべきこと/業者に頼む範囲

外部の会社に頼む場合でも、すべてを任せてしまうと、ノウハウが社内に残らず、外部への依存が強まります。社内に残すべきことと、外部に頼んだほうがよいことを分けて考えましょう。

役割分担の目安

領域社内に残すべきこと外部に頼んだほうがよいこと
企画対象業務の選定、目的と効果の目標、優先順位の判断AIで実現できるかの技術的な見極め
ルール社内の利用ルール、入力してよい情報の決定ツールやAIサービスの契約条件・データの扱いの確認、技術的な制限
業務の知識業務フロー、例外の扱い、正解データ・テスト質問の作成(業務の知識は外部に任せられない)
仕組みづくりノーコードでの試作、プロンプトの改善既存システムとの連携、データベース、画面の開発、セキュリティ設計
運用利用状況の確認、現場の要望の取りまとめ、効果の測定監視、障害対応、AIモデル・APIの変更への対応、サーバーの管理

ポイントは、業務の知識と判断は社内、技術的に難しい部分と止められない運用は外部という分け方です。外部に頼む部分も、設計書や設定の記録を納品してもらい、社内で内容を理解できるようにしておくと、将来の内製化や依頼先の変更がしやすくなります。

外部の支援を受けながら内製化を進める方法

外部への頼み方は、すべてを任せる受託開発だけではありません。社内の担当者と一緒に作業しながらノウハウを移す「伴走型」の支援や、開発チームを一定期間確保する「ラボ型」の契約もあります。最初は外部が主導し、少しずつ社内に移していく進め方は、内製化の近道になります。

想定ケース:ノーコードから業務システムへの切り替え

想定ケース:従業員130名の樹脂成形メーカー(架空の例)この例は、よくある状況をもとにした架空のモデルケースです。実在の企業の事例ではありません。
生産管理課の社員が、ノーコードAIツールで「不良報告書の下書きを作るアプリ」を作りました。現場の写真とメモを入れると、報告書の形に整えてくれるもので、生産管理課の中では好評でした。しかし、全工場に広げようとしたところ、品番や工程の情報が生産管理システムにあって手入力が必要なこと、作った社員が忙しく改善の依頼に応えられないことが課題になりました。

判断:報告書の書き方のルールやプロンプトの改善は、引き続き生産管理課が担当。生産管理システムから品番・工程の情報を取り出し、報告書を保存する部分は、開発会社に依頼して業務システムとして作り、運用・保守も契約しました。
効果の試算:報告書の作成が1件30分×月60件=月30時間。AIの下書きの確認・修正に1件10分かかるとすると、削減は月20時間程度の試算です。
うまくいく条件:報告書の書式と書き方のルールが決まっていること、社内に改善を担う担当者がいること。
つまずきやすい点:生産管理システムが古く外部とつなぐ仕組みがない場合、システム側の改修が必要になり、費用と期間が増えます。

内製化を進めるための体制づくり

  1. 推進役を決めるIT部門でなくても構いません。業務を知っていて、AIに関心のある社員を推進役にし、業務時間の一部を充てられるようにします
  2. 社内ルールを決める使ってよいツール、入力してよい情報、人が確認する場面を決めます
  3. 段階1〜3を社内で進める使い方の共有とノーコードでの試作で、どの業務にAIが効くかを確かめます
  4. 段階4以降は外部と組む本番の仕組みにする段階で、外部の会社に相談します。社内の推進役が窓口になり、記録を社内に残します
  5. 少しずつ社内に移す運用の中で、設定の変更や改善のうち社内でできる部分を増やしていきます
外部に頼む前の整理に
要件定義書や見積もり比較表、保守契約のチェックリストなどを無料テンプレート集で公開しています。外部の会社に相談する前に、社内で決めておくことの整理にご活用ください。
オーバーエックスのAI業務改善・AIシステム開発オーバーエックスでは、AIで改善できる業務の整理から、既存の業務システムとAIをつなぐ開発、導入後の運用・保守までを支援しています。社内で作ったノーコードの試作を活かして本番の仕組みにする進め方や、設計の記録を残して将来の内製化に備える進め方もご相談いただけます。IT担当者が少ない企業には情シス代行と組み合わせたご支援も可能です。詳しくはAI業務改善・AIシステム開発のページ、またはお問い合わせからどうぞ。

よくある質問

IT担当者がいなくても、AIの内製化はできますか?
ツールの活用、使い方の共有、ノーコードでの小さなアプリまでは、業務に詳しい社員が中心になって進められます。既存システムとの連携や本番の運用は、外部の支援を受けるのが現実的です。
内製と外注では、どちらが費用を抑えられますか?
一概には言えません。内製は外注費がかからない代わりに、社員の作業時間と、属人化や運用の手間というコストがかかります。業務の範囲、連携するシステム、求める精度、運用体制を踏まえて比べることが大切です。
外部に頼むと、社内にノウハウが残らないのではないですか?
任せきりにすると残りにくくなります。社内に窓口となる担当者を置き、設計書や設定の記録を納品してもらう、作業に同席するといった方法で、ノウハウを社内に残せます。
ノーコードで作ったAIアプリは、作り直しになりますか?
必ずしもそうではありません。ノーコードの部分はそのまま使い、足りない連携や権限の部分だけを開発する方法もあります。どこまで活かせるかは、使っているツールと求める要件によって変わります。

まとめ

AIの内製化は、ツールの活用からノーコードでの小さなアプリまでなら、中小企業でも社内の人材で十分に進められます。既存システムとの連携、権限とセキュリティ、精度の評価、本番の運用といった部分は、内製だけでは負担が大きくなりがちです。業務の知識と判断は社内に残し、技術的に難しい部分と止められない運用は外部と組む。この分担が、無理のない内製化の形です。

参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2025」(2025年6月)、同「DX動向2025 – AI時代のデジタル人材育成」(調査分析ディスカッション・ペーパー、2025年10月)。

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TechBase 編集部(株式会社オーバーエックス)

東京・秋葉原のシステム開発会社。業務システム・Webシステム・基幹システムの受託開発、システムリプレイス、自社パッケージ開発、要件定義の支援を手がけています。オーバーエックスの特徴を見る

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