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EDIシステムの構築・移行費用|INSネット終了(2028年12月)後の切り替え手順と受発注システム・販売管理との連携

EDIシステムの構築・移行費用|INSネット終了(2028年12月)後の切り替え手順と受発注システム・販売管理との連携

「取引先とのEDIがINSネットで動いているが、いつまで使えるのかわからない」「EDIを切り替えるといくらかかるのか見当がつかない」。電話回線を使う従来型のEDIを使い続けている企業では、こうした相談が増えています。NTT東日本・西日本は、INSネットそのもののサービスを2028年12月31日で終了すると案内しています。

この記事では、受発注業務を担う経営者・管理部門・情シスの担当者に向けて、EDIの種類、INSネット終了のスケジュールと影響、移行先の選択肢、移行の手順、費用の考え方、受発注システムや販売管理との連携までを整理します。情報は2026年10月24日時点のものです。

この記事の結論
  • INSネットの「ディジタル通信モード」は2024年1月から順次終了し、現在は補完策で通信が続いています。補完策を含むINSネットは2028年12月31日で終了します。
  • 移行先は、インターネットEDI、Web-EDI、EDIサービス(クラウド)、API連携が主な選択肢です。取引先の方式に合わせて選びます。
  • 移行は取引先の棚卸し → 方式の決定 → 取引先ごとのテスト → 切り替えの順で進めます。テストに時間がかかるため、早めの着手が必要です。
  • 移行は、受発注システムや販売管理との手作業の転記をなくす機会でもあります。回線だけ替えるか、連携まで見直すかを決めましょう。
目次
  1. EDIとは
  2. INSネット終了とEDIへの影響
  3. 影響を受ける企業
  4. 移行先の選択肢
  5. EDI移行の手順
  6. EDI移行・構築の費用の考え方
  7. 受発注システム・販売管理との連携
  8. よくある質問
  9. まとめ

EDIとは

EDIとは、Electronic Data Interchange(電子データ交換)の略で、異なる企業の間で、注文書や出荷案内、請求書などの取引データを通信回線を通じてコンピュータ同士でやり取りする仕組みです。EDIでやり取りするには、通信の方法(通信プロトコル)と、データの書き方(メッセージ)を取引先と取り決める必要があります。

EDIの主な種類

種類内容特徴
個別EDI取引先ごとに通信方法やデータ形式を決める相手に合わせて自由に決められるが、取引先が増えるほど対応の数が増える
標準EDI業界などで決めた標準の形式を使う一度対応すれば、同じ標準を使う複数の取引先とつなぎやすい
業界VAN業界向けの付加価値通信網(VAN)事業者が、データの中継や変換を行うVANを経由することで、多くの取引先と1つの窓口でやり取りできる
Web-EDI発注側が用意したWebサイトに、受注側がブラウザでログインしてデータを見る・入力する受注側は専用ソフトがなくても使えるが、発注先ごとに画面や操作が違い、転記が発生しやすい
流通BMS消費財の流通業界(小売と卸・メーカー)の国内標準EDI。インターネットでの通信を前提に、通信方法とメッセージを標準化しているスーパーなどの小売と取引する卸・メーカーでは、小売側から対応を求められることがある
出典:GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)「EDIとは」「流通BMS」。流通BMSは2007年に基本形Ver.1.0が公開され、2018年11月に消費税の軽減税率に対応したVer.2.0が公開されています。

EDIで受け取った注文データは、多くの場合、自社の受発注システムや販売管理システムに取り込んで使います。EDIを見直すときは、この取り込みの部分まで含めて考えることが大切です。

INSネット終了とEDIへの影響

NTT東日本・西日本は、固定電話網をIP網に移行しています。その影響で、電話回線を使ってデータを送る従来型のEDIが使えなくなる問題は「EDI 2024年問題」と呼ばれてきました。

INSネットに関するスケジュール

時期内容
2024年1月〜INSネットの「ディジタル通信モード」が、IP網への切り替えにあわせて順次終了。終了後は、補完策(切替後のINSネット上のデータ通信)でデータ通信をサポート
2024年8月31日INSネットの新規申し込みの受付が終了
2028年12月31日INSネット(INSネット64・INSネット64・ライト・INSネット1500)のサービス提供が終了。補完策もこの日で終了
出典:NTT西日本「INSネットのサービス提供終了について」、NTT東日本「固定電話(加入電話・INSネット)が廃止?IP網移行の時期と注意点について解説」。最新の情報は各社の公式ページで確認してください。
補完策は「延命策」ですNTT東日本は、補完策では従来の通信よりも伝送遅延が生じると説明しています。データ量が多い取引や、時間内に通信を終える必要がある取引では、通信時間が延びてタイムアウトなどが起きることがあります。補完策で今は動いていても、2028年12月31日までに移行を終える必要があります。

影響を受ける企業

  • INSネットとモデム・TA(ターミナルアダプタ)でEDIをしている:JCA手順や全銀手順など、電話回線を前提にした通信手順を使っている場合が該当します
  • EDIの専用パソコンや専用ソフトが古いまま:回線を替えても、ソフトが新しい通信方法に対応していないことがあります
  • 取引先から切り替えの案内が来ている:発注側の大手企業が方式を変える場合、受注側も対応が必要になります
  • EDIの仕組みを誰も把握していない:導入した担当者や業者がいなくなり、どの取引先とどう接続しているかわからない状態です

EDI以外にも、POSなどの専用端末でINSネットのデータ通信を使っている場合があります。社内でINSネットを使っている回線と用途を一通り確認しておきましょう。

移行先の選択肢

移行先は、主に次の4つです。自社の都合だけでは決められず、取引先がどの方式に対応しているかで選択肢が絞られます。

EDIの移行先の比較

移行先概要向いているケース注意点
インターネットEDIインターネット回線上で、標準の通信手順を使ってシステム同士が自動でやり取りする取引量が多い。流通BMSなど標準EDIを求められている通信ソフトの導入と、取引先ごとの接続テストが必要
Web-EDI取引先のWebサイトにブラウザでログインして受発注を行う。自社が発注側なら、Web-EDIを構築して仕入先に使ってもらう取引量が少ない受注側。発注側として多数の小規模な仕入先とつなぎたい受注側では画面からの転記やCSVのダウンロードが発生しやすい
EDIサービス(クラウド)EDI事業者のクラウドサービスを使い、通信・形式変換・取引先との接続を任せる取引先が多く、方式もバラバラ。自社でEDIを運用する人がいない月額の利用料がかかる。自社システムとの取り込み部分は別途必要
API連携取引先のシステムと、APIで直接データをやり取りする取引先が少数で、双方のシステムがAPIに対応している取引先ごとの個別開発になり、仕様変更への追従が必要

多くの企業では、主要な取引先はインターネットEDIやEDIサービスで自動化し、取引量の少ない取引先はWeb-EDIで対応するなど、方式を組み合わせています。

EDI移行の手順

  1. 取引先と現状の棚卸しEDIでつながっている取引先、それぞれの通信手順・データ形式・回線、やり取りする帳票(注文・出荷・請求など)、通信の頻度と時刻を一覧にします。使っている機器・ソフトと、その保守の状況も確認します
  2. 取引先への確認取引先ごとに、今後の対応方式と切り替えのスケジュールを問い合わせます。発注側の取引先が方式を決めている場合は、それに合わせる必要があります
  3. 移行方式の決定取引先の方式、取引量、社内の運用体制をもとに、インターネットEDI・Web-EDI・EDIサービス・API連携の組み合わせを決めます。社内システムへの取り込み方法もこの段階で決めます
  4. 構築と取引先ごとのテスト通信の設定やデータ変換、社内システムとの連携を作り、取引先1社ずつと接続テストを行います。取引先の都合で日程が決まるため、最も時間がかかる工程です
  5. 切り替えと並行運用取引先ごとに切り替え日を決め、しばらくは旧方式でも確認できる体制を残します。切り替え後は通信エラーの監視と、取引先からの問い合わせ窓口を決めておきます

取引先が多い場合、全社を一度に切り替えるのは現実的ではありません。取引量の多い取引先や、期限が近い取引先から順に進め、2028年12月31日よりも十分前に終えられるよう計画します。

あわせて、EDIで受け取ったデータの保存方法も確認しておきます。国税庁の「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」では、EDI取引は電子取引にあたると説明されています。方式を変えると保存の仕組みも変わることがあるため、具体的な対応は税理士などの専門家に確認してください。

EDI移行・構築の費用の考え方

EDIの移行費用は、方式と取引先の数、社内システムとの連携の範囲で大きく変わります。EDIサービスの利用料や通信ソフトの価格は製品ごとに異なるため、ここでは費用の内訳と、開発が必要な部分の目安を示します。

EDI移行でかかる主な費用

費用の項目内容金額の考え方
回線・通信ソフト・EDIサービスインターネット回線、EDI通信ソフトのライセンス、またはEDIサービスの初期費用・月額利用料製品・サービスごとに異なるため、複数社から見積もりを取る
取引先ごとの接続・テスト通信設定、データ形式の変換設定、接続テスト取引先の数に比例して増える。サービスによっては1社ごとに設定費がかかる
社内システムとの連携開発EDIデータを受発注システム・販売管理に自動で取り込む、出荷・請求データを自動で送る既存システムの改修範囲による。下の目安を参照
Web-EDIの構築(発注側の場合)仕入先がログインして注文確認・納期回答・出荷登録を行うWebシステム機能と利用社数による。下の目安を参照
運用・保守通信の監視、エラー対応、取引先の追加・仕様変更への対応保守費は年間で開発費の10〜15%程度が目安

開発が必要な部分の費用は、当社サイト共通の目安に当てはめると次のとおりです。いずれも目安で、取引先の数やデータ形式の種類によって変わります。

  • 小規模(100万〜300万円・1〜3か月):数社分のEDIデータを、既存の販売管理に取り込む連携機能の追加など
  • 中規模(300万〜1,000万円・3〜6か月):複数の方式・形式を変換して受発注システムと双方向に連携する、仕入先向けのWeb-EDIを構築するなど
  • 大規模(1,000万円〜・6か月〜1年以上):受発注システム・販売管理の刷新とEDIの移行を同時に行う場合など
連携開発の予算感を確認する
システムの種類や機能を選ぶだけで開発費の目安がわかる開発費用の概算シミュレーターを用意しています。EDIとの連携やWeb-EDIの構築を検討する際の予算づくりにご活用ください。

受発注システム・販売管理との連携

EDIの移行で見落とされがちなのが、社内システムとの連携です。回線や通信ソフトだけを新しくしても、受け取った注文データを人が印刷して販売管理に入力し直していれば、手間とミスは残ります。

  • 受注データの自動取り込み:EDIで受け取った注文を、受発注システムや販売管理に自動で登録する
  • 出荷・請求データの自動送信:出荷実績や請求データを販売管理から作り、EDIで取引先へ送る
  • Web-EDIの転記をなくす:取引先のWeb-EDIからダウンロードしたCSVを、手作業ではなく自動で取り込む
  • マスタの対応表を管理する:取引先の商品コード・取引先コードと、自社のコードの対応をシステムで管理する

EDIの切り替えを機に、受発注の流れ全体を見直すと、二重入力の削減や受注から出荷までのリードタイム短縮につながります。商社・卸売業の受発注に関する当社の取り組みは商社・卸のページでも紹介しています。

オーバーエックスのEDI連携・受発注システム開発オーバーエックスでは、EDIで受け取ったデータを受発注システム・販売管理へ取り込む連携機能の開発や、仕入先向けWeb-EDIを含む受発注システムの受託開発に対応しています。「どの取引先とどうつながっているかわからない」という現状調査の段階からご相談いただけます。詳しくは業務システム開発のページをご覧のうえ、お問い合わせください。

よくある質問

今は補完策でEDIが動いています。急いで移行する必要はありますか?
補完策を含むINSネットは2028年12月31日に終了するため、それまでに移行が必要です。取引先ごとのテストには時間がかかり、期限が近づくと取引先やベンダーの対応も混み合います。補完策では通信の遅延も生じるため、早めに計画することをおすすめします。
光回線に替えれば、今のEDIソフトをそのまま使えますか?
使えない場合があります。電話回線を前提にした通信手順のソフトは、回線を替えただけではインターネット上で通信できないことがあります。ソフトの提供元に新しい通信方法への対応状況を確認し、必要ならソフトの更新や方式の変更を検討してください。
Web-EDIとインターネットEDIは何が違いますか?
Web-EDIは、人がブラウザで取引先のWebサイトを操作して受発注を行う方式です。インターネットEDIは、システム同士が自動でデータをやり取りする方式です。取引量が多い場合はインターネットEDIのほうが手作業を減らせます。
取引先ごとに方式が違う場合はどうすればよいですか?
複数の方式や形式に対応するEDIサービスを使うか、自社で変換の仕組みを作って、社内のシステムには共通の形式で取り込む方法があります。取引先の数、取引量、社内の運用体制を見て選びます。
EDIの移行費用はどのくらい見ておけばよいですか?
EDIサービスや通信ソフトの費用は製品によって異なるため、複数社の見積もりで確認します。社内システムとの連携開発は、数社分の取り込み機能の追加なら100万〜300万円程度、受発注システムとの双方向連携やWeb-EDIの構築を含めると300万〜1,000万円程度が目安です。

まとめ

INSネットのディジタル通信モードは2024年1月から順次終了し、補完策を含むINSネットは2028年12月31日で終了します。EDIの移行は、取引先の棚卸しから始め、取引先の方式に合わせて移行先を選び、1社ずつテストして切り替える必要があるため、時間に余裕をもって進めましょう。回線を替えるだけでなく、受発注システムや販売管理との連携まで見直せば、転記の手間やミスを減らす機会にもなります。

参考:NTT西日本「INSネットのサービス提供終了について」、NTT西日本「『INSネット』をご利用の事業者さまへ」、NTT東日本「固定電話(加入電話・INSネット)が廃止?IP網移行の時期と注意点について解説」、GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)「EDIとは」「流通BMS」、国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(2022年6月)。

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TechBase 編集部(株式会社オーバーエックス)

東京・秋葉原のシステム開発会社。業務システム・Webシステム・基幹システムの受託開発、システムリプレイス、自社パッケージ開発、要件定義の支援を手がけています。オーバーエックスの特徴を見る

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