建設業向け業務システムの開発|原価・案件・工程管理を一元化する方法

「工事ごとの原価は経理が締めるまでわからない」「案件情報は営業のExcel、工程表は現場監督のExcel、請求は会計ソフトとバラバラで、同じ内容を何度も入力している」。建設業の業務システムに関する相談で、よく聞く悩みです。建設業向けのシステムやパッケージは数多くありますが、自社の業務にどう合わせるか、どこまで一元化するかで迷う企業は少なくありません。
この記事では、建設業の業務システム(基幹システム)で管理すべき領域、原価・案件・工程管理を一元化する方法、パッケージと自社開発の比較、費用の目安と進め方までを整理します。建設業の管理システムを見直す際の判断材料として活用してください。
- 建設業のシステムは「工事(案件)」を軸に、見積・実行予算・原価・工程・請求をつなぐことが一元化の要。
- 一元化の方法は、建設業向けパッケージ、SaaSの組み合わせ+連携、スクラッチ開発の3つが主な選択肢。
- スクラッチ開発の費用目安は、原価・案件管理中心で500万〜1,500万円程度、工程・請求まで含む基幹システムで1,000万〜3,000万円程度。
- いきなり全部を作らず、工事番号の統一と原価管理から段階的に広げると失敗しにくい。
目次
建設業の業務システムとは?管理すべき領域
建設業の業務システムとは、工事の受注から施工、完成、請求・支払いまでの業務を、工事(案件)単位で管理するためのシステムです。全社の中核業務を担うため「建設業の基幹システム」と呼ばれることもあります。
製造業や小売業の基幹システムと大きく違うのは、管理の単位が「製品」ではなく「工事」であることです。一つひとつの工事に個別の見積、実行予算、協力会社、工程があり、工期も数か月から数年に及びます。そのため、工事ごとにお金と進み具合を追いかける仕組みが中心になります。
建設業の業務の流れと管理領域
- 案件・営業管理引き合い、見積、受注確度、受注案件の登録。工事番号の採番。
- 実行予算管理受注金額に対し、工種ごと・外注先ごとの予算を組む。
- 発注・購買管理協力会社への注文書、資材の発注、出来高の確認。
- 工程管理工程表の作成と進捗管理、人員・重機の手配。
- 原価管理労務費・外注費・材料費・経費を工事ごとに集計し、予算と比較する。
- 請求・支払・会計連携出来高請求や完成請求、協力会社への支払い、会計ソフトへの仕訳連携。
建設業ならではの管理のポイント
- 工事単位の原価計算:建設業会計では、完成前の工事にかかった原価を「未成工事支出金」として扱うなど、工事ごとの原価把握が前提になります。
- 実行予算と実績の比較:工事の途中で予算超過に気づけるかどうかが、利益を守るカギです。
- 協力会社との取引管理:注文書・請書、出来高、支払いを工事ごとに正しく紐づける必要があります。
- 現場と事務所の情報共有:日報、写真、工程の変更を現場から入力し、事務所で即座に確認できることが求められます。
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原価・案件・工程管理を一元化するメリット
建設業の管理システムを一元化するとは、案件・原価・工程などの情報を共通の工事番号で結びつけ、1か所に入力したデータを全体で使い回せる状態にすることです。
一元化した状態
- 受注した時点で工事番号が発番され、全業務で共通に使われる
- 発注や日報の入力が、そのまま原価に反映される
- 工事ごとの予算と実績を、月次を待たずに確認できる
- 請求データが会計ソフトに自動で連携される
バラバラの状態
- 営業・工務・経理が別々に工事一覧を管理している
- 同じ工事の情報を部署ごとに何度も入力している
- 原価がわかるのは経理の締め後で、手を打つのが遅れる
- 担当者しか集計方法を知らず、属人化している
特に効果が大きいのは原価管理です。工事の途中で原価の見込みを把握できるようになると、赤字工事の兆候に早く気づき、追加工事の交渉や工程の見直しといった手を打てるようになります。
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一元化の3つの方法と比較
建設業のシステムを一元化する方法は、主に次の3つです。費用は一般的な目安で、利用人数や機能範囲によって変わります。
| 方法 | 費用の目安 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 建設業向けパッケージ | 数百万〜1,000万円程度(カスタマイズ含む) | 建設業会計や帳票が標準で揃っている | 独自の管理方法に合わせるとカスタマイズ費用が膨らむ |
| SaaSの組み合わせ+連携 | 連携開発費+各サービスの月額利用料 | 工程管理・会計など分野ごとに使いやすいサービスを選べる | サービス間のデータ連携の設計が必要。連携できない項目が残ることも |
| スクラッチ開発 | 500万〜3,000万円程度 | 自社の工事区分・原価科目・帳票に合わせられる。既存システムとも柔軟に連携できる | 要件定義に時間がかかる。発注側の関与が必要 |
スクラッチ開発の費用は、人月(技術者の人数×期間)で算出されます。人月単価の目安はPMで100万〜160万円、SEで80万〜120万円、PGで60万〜100万円程度です。稼働後の保守費は、年間で開発費の10〜15%程度が目安です。
どの方法を選ぶべきか
判断の軸は、「自社の管理方法が業界標準に近いか」と「既に使っているシステムをどこまで活かしたいか」です。工事の規模や種類が標準的で、管理方法をパッケージに合わせられるなら、建設業向けパッケージが近道です。一方、原価科目の切り方や実行予算の組み方、協力会社との精算方法に自社独自のルールがある場合、また既存の会計ソフトや工程管理サービスを活かしたい場合は、必要な部分だけをスクラッチで開発し、既存の仕組みとつなぐ方法が合理的なケースもあります。
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建設業システムの費用の目安
スクラッチ開発で構築する場合の、対象範囲ごとの費用の目安を示します。
対象範囲別の開発費用の目安(スクラッチ開発)
建設業システムの一元化の進め方
- 現状の管理表と流れを集める各部署が使っているExcel、帳票、会計ソフトの設定を集め、どこで同じ情報を入力しているかを洗い出します。
- 工事番号とマスタを統一する工事番号の採番ルール、原価科目、協力会社の一覧など、全業務で共通に使う基礎情報を決めます。
- 優先する領域から構築する効果の大きい原価管理・案件管理から始め、工程・請求へと段階的に広げます。
- 現場の入力方法を設計する日報や出来高をスマートフォン・タブレットから入力できるようにし、現場の負担を減らします。
- 会計ソフトとの連携仕訳データの連携方法(CSV連携かAPI連携か)を決め、経理の二重入力をなくします。
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よくある質問
- 建設業の基幹システムとは何ですか?
- 建設業の基幹システムとは、工事の受注から実行予算、発注、原価、工程、請求・支払いまでを工事単位で管理する中核のシステムです。会計ソフトと連携して、工事ごとの損益を把握できるようにするのが一般的です。
- 建設業の原価管理システムを自社開発する費用は?
- 案件管理と原価管理を中心にスクラッチ開発する場合、500万〜1,500万円程度が目安です。工程管理や請求、会計連携まで含めると1,000万〜3,000万円程度になることがあります。
- 建設業向けパッケージと自社開発のどちらがよいですか?
- 管理方法が業界標準に近く、パッケージに合わせられるならパッケージが早く安く導入できます。独自の原価科目や精算ルールがある場合や、既存システムを活かして連携したい場合は、自社開発が向くことがあります。
- 小規模な建設会社でもシステム化は必要ですか?
- 規模が小さくても、工事ごとの原価把握や二重入力の解消には効果があります。まずはSaaSや小規模な原価管理の仕組みから始め、事業の拡大に合わせて範囲を広げる方法もあります。
まとめ
建設業の業務システムは、工事(案件)を軸に、見積・実行予算・発注・工程・原価・請求をつなぐことが一元化の要です。方法は建設業向けパッケージ、SaaSの組み合わせと連携、スクラッチ開発の3つがあり、スクラッチ開発の費用は範囲に応じて500万〜3,000万円程度が目安です。工事番号とマスタを統一し、効果の大きい原価管理から段階的に進めることで、二重入力をなくし、工事の利益を早く把握できる体制をつくりましょう。
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