中小企業のDX・システム化に使える補助金・助成金まとめ

「DXを進めたいが、費用が負担で踏み出せない」「補助金や助成金がたくさんあって、自社に合う制度がどれかわからない」という中小企業の経営者・担当者は少なくありません。DXに関係する支援制度は、経済産業省・中小企業庁の補助金だけでなく、厚生労働省の助成金や自治体の制度まで幅広く、目的によって使うべき制度が変わります。
この記事では、中小企業のDX・システム化に使える補助金・助成金を、DXの段階(ツール導入、省力化、新事業、人材育成)ごとに整理して紹介します。制度の内容は2026年9月時点の公開情報です。申請の際は、必ず各制度の最新の公募要領を確認してください。
- DXの支援制度は「何に投資するか」で選ぶ。ツール導入、省力化設備、新事業、人材育成で使う制度が異なる
- 経済産業省系の補助金は審査で選ばれる方式、厚生労働省系の助成金は要件を満たせば受給できる方式が中心
- 2026年9月時点では、省力化投資補助金(一般型)や新事業進出・ものづくり商業サービス補助金などが公募中
- 同じ経費に複数の国の制度を重ねて使うことはできない。制度ありきではなく、必要な投資から逆算して選ぶ
目次
DXに使える補助金・助成金とは?
DXに使える補助金・助成金とは、中小企業がITツールやシステム、省力化設備を導入したり、デジタル人材を育成したりする費用の一部を、国や自治体が支給する制度です。返済の必要はありませんが、原則として後払いで、事前の申請や事後の報告が必要です。
「補助金」と「助成金」は似た言葉ですが、所管や受給の仕組みが異なります。
補助金と助成金の違い
| 項目 | 補助金 | 助成金 |
|---|---|---|
| 主な所管 | 経済産業省・中小企業庁、自治体など | 厚生労働省(雇用・人材関連) |
| 目的 | 設備投資、新事業、生産性向上など | 賃上げ、雇用の維持、人材育成など |
| 受給の仕組み | 事業計画を審査し、採択された企業のみ | 要件を満たせば原則として受給できる |
| 公募期間 | 公募回ごとに締切がある | 通年受付のものが多い(予算の範囲内) |
| DXでの使いどころ | システム・ITツール・設備への投資 | 設備投資と賃上げの組み合わせ、DX人材の研修 |
DXの段階別に使える主な制度
DXは一度に進むものではなく、紙やExcelの業務をデジタル化する段階から、業務の自動化、新しいビジネスの創出へと段階的に進みます。段階ごとに主に使える制度を整理すると次のとおりです。
| DXの段階 | 投資の例 | 主な制度 |
|---|---|---|
| デジタル化(ツール導入) | 会計・販売管理・勤怠などのクラウドサービス導入 | デジタル化・AI導入補助金、小規模事業者持続化補助金 |
| 省力化・自動化 | 自動化設備、設備と連動したシステム、配膳ロボットなど | 中小企業省力化投資補助金、業務改善助成金 |
| 新事業・ビジネス変革 | 新サービスのためのシステム開発、新事業の立ち上げ | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金、中小企業成長加速化補助金 |
| DX人材の育成 | データ活用やAI活用の研修 | 人材開発支援助成金 |
※2026年9月時点の情報をもとにした整理です。各制度の対象経費や要件は公募回ごとに変わることがあります。
DXに使える主な補助金(国)
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
事務局に登録されたITツール(ソフトウェア、クラウドサービス、AI機能を持つツールなど)の導入費用を補助する制度です。2026年度にIT導入補助金から名称が変わりました。通常枠の補助額は5万〜450万円、補助率は原則1/2です。既製のツールが対象で、自社専用のスクラッチ開発は原則として対象外です。
関連記事デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の対象経費と申請の流れ
中小企業省力化投資補助金
人手不足に悩む中小企業の省力化投資を支援する制度で、カタログに掲載された製品から選ぶ「カタログ注文型」(補助上限は最大1,500万円)と、現場に合わせた設備導入やシステム構築を対象とする「一般型」(補助上限は最大1億円)があります。2026年9月時点では、カタログ注文型は随時受付、一般型は第8回の応募申請を2026年10月16日(金)17:00まで受け付けています。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
2026年度に、ものづくり補助金と中小企業新事業進出補助金が統合された制度です。新製品・新サービスの開発や新事業への進出に必要なシステム構築費を計上でき、オーダーメイドのシステム開発で活用しやすい制度です。第1回公募の応募締切は2026年10月30日(金)18:00です。
関連記事新事業進出・ものづくり補助金でシステム開発する方法と採択のコツ
中小企業成長加速化補助金
将来の売上高100億円を目指す中小企業の大規模投資を支援する制度で、補助上限は5億円、補助率は1/2です。工場や拠点の新設など大型投資が中心ですが、それに伴うシステム投資も含めた計画を立てられます。2026年9月時点では、3次公募の申請受付が9月29日〜10月29日の予定と案内されています。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者の販路開拓や業務効率化を支援する制度です。補助額は比較的小さく、ウェブサイト関連費に上限があるため、本格的なシステム開発よりも、小規模なデジタル化の第一歩に向いています。
DXに使える主な助成金(厚生労働省)
業務改善助成金は、2026年度(令和8年度)は賃金の引上げ額に応じたコースが設けられ、助成上限は最大600万円です。助成金は賃上げや雇用に関する要件とセットになっているため、人事・労務の担当者や社会保険労務士と連携して検討しましょう。
自社に合う制度の選び方
- 解決したい課題と投資内容を決めるどの業務の何を改善したいのか、ツール導入か、システム開発か、設備か、研修かを整理する
- 投資内容から制度の候補を絞る既製ツールならデジタル化・AI導入補助金、新事業のシステムなら新事業進出・ものづくり商業サービス補助金、のように候補を選ぶ
- スケジュールと資金繰りを確認する公募の締切、交付決定の時期、後払いまでの資金を確認する
- 相談先を決める商工会議所・商工会、よろず支援拠点、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)などに相談する
- 見積もりと事業計画を準備する開発会社やITベンダーから内訳のわかる見積もりを取り、計画書を作成する
よくある質問
- 中小企業のDXで最初に検討すべき補助金はどれですか?
- 紙やExcelの業務をクラウドサービスなどに置き換える段階なら、デジタル化・AI導入補助金が第一候補です。自社専用のシステム開発や新事業が目的なら、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金を検討しましょう。
- 補助金と助成金は併用できますか?
- 対象となる経費が異なれば、補助金と助成金を併用できる場合があります。ただし、同じ経費に複数の国の制度を重ねることはできないため、各制度の公募要領や支給要領で確認してください。
- DXの補助金は自社だけで申請できますか?
- 申請は可能ですが、事業計画書の作成には時間と知識が必要です。商工会議所やよろず支援拠点などの無料の相談窓口や、認定支援機関の支援を受ける企業も多くあります。
- 自治体の補助金はどこで探せますか?
- 都道府県や市区町村のホームページ、地域の中小企業支援機関のサイトで確認できます。国の支援情報サイト「ミラサポplus」や「J-Net21」でも、地域別に制度を検索できます。
まとめ
中小企業のDX・システム化に使える支援制度は、ツール導入ならデジタル化・AI導入補助金、省力化なら省力化投資補助金や業務改善助成金、新事業なら新事業進出・ものづくり商業サービス補助金、人材育成なら人材開発支援助成金というように、投資の内容によって選ぶのが基本です。
補助金ありきで計画すると、公募のスケジュールに振り回されたり、不採択で計画が止まったりします。まず必要な投資を明確にし、そのうえで使える制度を組み合わせて検討しましょう。
参考:デジタル化・AI導入補助金2026/中小企業省力化投資補助金/新事業進出・ものづくり商業サービス補助金/ミラサポplus:中小企業成長加速化補助金/厚生労働省:人材開発支援助成金(いずれも2026年9月時点)
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