kintone・ExcelのAI機能でできること|kintone AIとExcelのCopilotの限界とシステム化の判断

「kintoneにAI機能が付いたと聞いたが、何ができるのか」「ExcelのCopilotで集計や分析が楽になるなら、システム化しなくてもよいのでは」。kintoneやExcelで業務を回している会社にとって、使い慣れた道具にAIが加わるのは心強いことです。追加の開発なしで使えるなら、まずはそこから試したいと考えるのは自然です。
この記事では、kintoneとExcelのAI機能でできることを公式情報をもとに整理し(2026年10月時点)、AI機能では解決しにくい限界と、業務システムとして作り直すかどうかの判断基準を解説します。製品の機能は頻繁に更新されるため、導入前には必ず最新の公式情報をご確認ください。
- kintoneには「kintone AI」として、アプリのデータをもとに答える検索AIや、アプリ作成を支援するAIなどが正式提供されています(2026年6月14日から、スタンダード・ワイドコース対象)。
- ExcelではExcel の Copilotで、データの変換・並べ替え・集計・グラフ化などを話しかけて行えます(対象のライセンスが必要)。
- どちらも今あるデータと仕組みの範囲で効率を上げる機能です。データの形が整っていない、複数のシステムに散らばっている、といった根本の問題は解決しません。
- AI機能を試してもなお手作業・二重入力・属人化が残るなら、業務システム化を検討するタイミングです。
目次
kintone・ExcelのAI機能とは
kintone・ExcelのAI機能とは、普段使っているkintoneやExcelの中で、生成AIを使ってデータの検索・集計・作成などを支援する機能のことです。生成AIとは、文章などを新しく作り出すAIのことで、話しかけるように指示(プロンプト)を入力すると、AIがその意図をくみ取って処理します。
これらの機能の特徴は、新しいツールを導入しなくても、今のデータと画面のままでAIを使えることです。一方で、AIが扱えるのは、基本的にそのkintoneやExcelファイルの中にあるデータです。この「範囲」を理解しておくことが、AI機能で足りるのか、システム化が必要なのかを判断するポイントになります。
kintone AIでできること(2026年10月時点)
サイボウズは、ベータ版として「kintone AIラボ」で提供していたAI機能を、2026年6月14日から「kintone AI」として正式に提供しています。発表されている機能は次の6つです。
kintone AIの主な機能(2026年10月時点)
| 区分 | 機能 | 概要 |
|---|---|---|
| データ活用の支援 | 検索AI | 指定したアプリのデータをもとに、質問に文章で回答する。社内制度・マニュアル・過去の問い合わせ履歴などの横断検索に使える |
| レコード一覧分析 | レコード一覧のデータを分析する | |
| スレッド要約AI | スレッドのやり取りを要約する | |
| アプリ作成(市民開発)の支援 | アプリ作成AI | アプリの作成を支援する |
| プロセス管理設定AI | 承認などのプロセス管理の設定を支援する | |
| アプリ設定レビューAI | アプリの設定を確認する |
利用条件は次のとおりです(2026年10月時点の公式発表より)。
- 対象:スタンダードコースまたはワイドコースの契約者。ライトコースは対象外です
- 申し込み:個別の申し込みは不要で、管理者が「kintone AI管理」画面で使う機能を選びます
- 利用量:追加料金なしで、契約ユーザー数とコースに応じた「AIクレジット」が毎月付与され、機能を使うたびに消費されます。クレジットを追加購入できる有償オプションは、2026年秋ごろの提供予定と発表されています
- アクセス権:検索AIの結果には、アプリに設定したアクセス権が反映されます
- 学習への利用:検索AIでは、質問文と検索結果をAIに送って回答を作りますが、いずれもAIの学習には使われないと説明されています
また、サイボウズは開発者向けに、生成AIのツールからkintoneのレコードやアプリ設定を操作できる「kintone MCPサーバー」をオープンソースで公開しています。MCPとは、AIと外部のシステムをつなぐための共通の取り決めです。手元のパソコンで動かす形式で、APIサポート窓口の対象外とされているため、業務で使うには技術的な知識と、権限の管理が必要です。
関連記事既存の業務システムと生成AIをつなぐ|API化とMCPサーバーの構築、古いシステムでの選択肢と権限設計の進め方
ExcelのAI機能でできること(2026年10月時点)
Excelでは、Microsoftの生成AIである「Excel の Copilot」が使えます。Microsoftのサポート情報によると、主に次のようなことができます。
- データの生成・変換:列の追加、数式の作成、データの整形などを、話しかけて指示できます
- 並べ替え・フィルター・強調表示:条件に合うデータを抜き出したり、目立たせたりできます
- 3つのモード:ブックを直接変更する「編集」、変更の前に計画を示す「プラン」、回答をチャットに表示する「チャット」があります
- Webや作業ファイルの参照:Webの情報や、作業中のファイルを参照して回答できます
注意点もあります。Copilotを使うには、Microsoft 365の対象サブスクリプションやCopilotのライセンスが必要で、組織の設定によって使える機能が変わります。編集は計算方法が「自動」の場合のみ対応し、古い形式のファイルでは問題が起きることがあるため、.xlsxなどの最新形式で保存することが推奨されています。また、Microsoftは生成結果に誤りが含まれる可能性があるとして、金融・法律・医療などの重要な判断には使わないよう案内しています。
Microsoft 365全体のCopilotでできること・できないことは、次の記事で詳しく解説します。
関連記事Microsoft 365 Copilotでできること・できないこと|自社開発が必要になる場面と導入前の確認点
AI機能では解決しにくいこと
kintoneやExcelのAI機能は便利ですが、今あるデータと仕組みの中で効率を上げるものです。次のような問題は、AI機能を使っても残ります。
AI機能で解決しやすいこと・しにくいこと
| 解決しやすいこと | 解決しにくいこと |
|---|---|
| 集計表やグラフを作る手間 | 部署ごとにExcelの形式が違い、データを合わせられない |
| レコードやマニュアルを探す手間 | データが複数のシステムやファイルに散らばっている |
| 数式や関数を調べる手間 | 同じデータを複数の場所に入力している(二重入力) |
| アプリ作成の初期設定 | 複雑な計算・在庫の引き当て・原価計算などの業務ロジック |
| 長いやり取りを読む手間 | 大量データの処理速度、同時に編集したときの整合性 |
| — | 基幹システムや会計ソフトとの正確な連携 |
特に注意したいのは、AIの答えの質は、元のデータの質で決まるという点です。表記ゆれが多い、入力されていない項目がある、古いデータと新しいデータが混ざっている、といった状態では、AIが集計しても正しい結果になりません。AI機能を試してみて「答えが合わない」と感じたら、AIの性能よりも先に、データの持ち方を疑ってみてください。
関連記事kintoneの限界とは?スクラッチ開発に切り替える判断基準と費用
関連記事Excel管理の限界とは?システム化を検討すべきサイン
システム化を検討すべきサイン
AI機能を試したうえで、次のような状態が続くなら、業務システムとして作り直すことを検討するタイミングです。
- AIで集計する前に、データの手直しに時間がかかる:AIが楽にしているのは集計の最後の部分だけで、前段の作業が残っています
- 同じデータを複数の場所に入力している:kintoneとExcelと会計ソフトに同じ情報を入れている場合、AIでは二重入力はなくなりません
- 特定の人しかファイルやアプリを直せない:複雑なマクロや計算式、カスタマイズが属人化していると、AIで部分的に楽になっても、リスクは残ります
- 件数やユーザー数が増えて動作が重い:データ量や同時に使う人数の問題は、AI機能では解決しません
- AIのクレジットやライセンスの費用が、使う人数とともに増え続けている:費用と効果を比べ、仕組みそのものを見直す時期かもしれません
システム化といっても、すべてを作り直す必要はありません。kintoneやExcelで回っている部分は残し、二重入力や複雑な計算の部分だけをシステムにする、既存の業務システムに生成AIの機能を組み込む、といった方法もあります。
関連記事社内データをAIで分析する|話しかけるだけで集計できる仕組みと3つの方法、データ整備と権限など注意点
従業員50名の食品卸の会社。営業担当8名が、それぞれのExcelで売上を管理し、月末に事務担当者が1つのファイルにまとめて集計しています。まとめる作業に月12時間、集計とグラフ作成に月4時間かかっているとします。
Excel の Copilotで集計とグラフ作成を指示するようにすると、集計の4時間は1〜2時間程度に減る見込みです。一方、営業担当ごとに列の並びや得意先名の書き方が違うため、まとめる作業の12時間はほとんど減りません。結果として、削減は月2〜3時間程度にとどまる試算です。
そこで、売上の入力を共通の入力画面(kintoneのアプリ、または小さな業務システム)に統一し、そのデータをAIで集計する形にした場合を考えます。まとめる作業が不要になれば、月12時間程度の削減が加わる試算になります。
うまくいく条件:得意先名・商品名の一覧(マスタ)を1つにそろえられること。営業担当が入力方法の変更に協力できること。
つまずきやすい点:AIで集計した数字を、元のデータで確認せずに会議資料に使うと、誤りに気づけません。また、入力の画面を変えると、最初の数か月は現場の負担が一時的に増えます。
作りたい機能や規模を選ぶだけで、開発費用の目安がわかる開発費用の概算シミュレーターを用意しています。kintoneやExcelからの移行を検討する際の予算づくりにご活用ください。
よくある質問
- kintone AIは追加料金なしで使えますか?
- 2026年10月時点の公式発表では、スタンダードコースとワイドコースの契約者は、追加料金なしで毎月付与されるAIクレジットの範囲で使えます。ライトコースは対象外です。クレジットを追加購入できる有償オプションは2026年秋ごろの提供予定とされているため、最新の情報を公式サイトで確認してください。
- Excel の Copilotは、どのライセンスで使えますか?
- Microsoftのサポート情報では、Copilotの商用サブスクリプションや、対象となるMicrosoft 365のビジネス・エンタープライズのサブスクリプションなどが条件として挙げられています。組織の設定によって使える機能が変わるため、社内の管理者やMicrosoftの公式情報で確認してください。
- AI機能を使えば、kintoneの限界は解決しますか?
- 検索や集計、アプリ作成の手間は減らせますが、データ量の多さ、複雑な計算、他のシステムとの連携といった限界は、AI機能では解決しません。AIは今のアプリやデータの範囲で効率を上げるものと考えましょう。
- 社内のデータをAIに入れても大丈夫ですか?
- 製品ごとに、入力したデータの扱いが定められています。たとえばkintoneの検索AIは、質問と検索結果がAIの学習に使われないと説明されています。利用規約や管理者向けの設定を確認し、個人情報を扱う場合は利用目的の範囲内かも確認してください。
まとめ
kintoneとExcelには、2026年10月時点で、データの検索・集計・アプリ作成などを支援するAI機能が用意されています。追加の開発なしで試せるため、まずは使ってみる価値があります。ただし、AIは今あるデータと仕組みの範囲で効率を上げるものです。データの手直し、二重入力、属人化が残るなら、それは仕組みそのものを見直すサインです。AI機能で足りる部分と、システム化が必要な部分を分けて考えましょう。
関連記事Excel業務をシステム化する方法|判断基準・費用・進め方
参考:サイボウズ「サイボウズ、『kintone AI』を正式提供」(2026年4月22日)、サイボウズ「kintone 検索AI スタートアップガイド」(2026年5月時点)、cybozu developer network「kintone MCPサーバー」(2025年10月24日)、Microsoft サポート「Excel の Copilot とは」「COPILOT 関数」(2026年10月確認)。
この記事に関連するサービス
AI業務改善・AIシステム開発
生成AIなどのAIを、業務の流れや社内のシステムに組み込んで成果が出る形にします。業務の整理、試験導入(PoC)、AIを組み込んだシステムの開発、導入後の運用・改善まで一貫して対応… サービスの詳細を見る



