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生成AIと著作権・法律|AI推進法・AI事業者ガイドラインで企業が押さえること【2026年10月版】

生成AIと著作権・法律|AI推進法・AI事業者ガイドラインで企業が押さえること【2026年10月版】

「AIで作った文章や画像を、そのまま広告や提案書に使ってよいのか」「AI推進法ができたらしいが、うちの会社にも何か義務があるのか」「AI事業者ガイドラインは読まないといけないのか」。生成AIを業務で使い始めると、法律やルールについての疑問が次々に出てきます。

この記事では、生成AIを業務で使う中小〜中堅企業が押さえておきたい法律・ルールを、①著作権(文化庁の考え方)、②AI推進法と人工知能基本計画、③AI事業者ガイドライン、④個人情報・営業秘密の4つに分けて整理します。内容は2026年10月時点で一次情報を確認したものです。個別の判断は、最終的には弁護士など専門家に確認してください。

この記事の結論
  • 著作権は、「学習」と「生成・利用」を分けて考えるのが基本です。AIで作ったものでも、既存の作品と似ていて、それを元にしたと認められれば著作権侵害になりえます。
  • AI推進法(2025年6月公布、9月全面施行)はAIの研究開発と活用を推進するための法律で、企業に罰則つきの義務を課すものではありません。ただし、国の施策への協力が求められ、権利侵害の事案には国が指導・助言を行う仕組みがあります。
  • AI事業者ガイドラインは第1.2版(2026年3月31日)が最新です。法的な拘束力はありませんが、AIを業務で使う会社も対象に含まれ、社内ルールづくりの土台になります。
  • 実務で特に気をつけたいのは、社外に出す生成物の権利確認と、個人情報・取引先の秘密情報の入力です。
目次
  1. 生成AIに関わる法律・ルールの全体像
  2. 生成AIと著作権:文化庁の考え方
  3. 開発・学習段階:原則として許諾なく学習できるが、例外がある
  4. 生成・利用段階:通常の著作権侵害と同じ基準で判断
  5. AIで作ったものに著作権はあるか
  6. AI推進法とは:成立・施行と企業への影響
  7. 企業(活用事業者)に求められること
  8. 人工知能基本計画と適正性確保の指針
  9. AI事業者ガイドラインとは:最新は第1.2版
  10. 個人情報・営業秘密:入力する情報に関わる法律
  11. 想定ケースで考える:AIで作った販促物の権利確認
  12. 自社でできること・専門家に頼むこと
  13. よくある質問
  14. まとめ

生成AIに関わる法律・ルールの全体像

生成AIと法律の関係とは、AIを作る・使う・作ったものを利用する、それぞれの場面で、既存の法律(著作権法、個人情報保護法など)と、AIのための新しい法律・指針がどう関わるかという問題です。生成AIとは、文章や画像などを新しく作り出すAIのことです。

日本では、既存の法律で対応しつつ、AI推進法と国の指針・ガイドラインで「望ましい取り組み」を示す形がとられています。

企業が押さえておきたい主な法律・ルール(2026年10月時点)

法律・ルール種類企業との関わり
著作権法(と文化庁「AIと著作権に関する考え方について」)法律(考え方は法的拘束力のない解釈の整理)AIの生成物を社外に出すとき、他人の作品を入力するときに関係する
AI推進法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)法律(推進法。罰則なし)活用事業者として、AIの活用に努め、国の施策に協力する責務
人工知能基本計画AI推進法に基づく政府の計画国の施策の方向性。補助金などの支援策にもつながる
適正性確保に関する指針(AI指針)AI推進法に基づく国の指針(法的拘束力なし)AIを適正に使うための取り組みの参考
AI事業者ガイドライン(第1.2版)総務省・経済産業省のガイドライン(法的拘束力なし)AIを開発・提供・利用する事業者の取り組みの指針
個人情報保護法、不正競争防止法など法律個人情報や営業秘密をAIに入力するときに関係する
海外でサービスを提供する場合は、EUのAI法など、その国・地域の規制も確認が必要です。

生成AIと著作権:文化庁の考え方

文化庁の文化審議会著作権分科会法制度小委員会は、2024年3月15日に「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめました。法的な拘束力はなく、最終的な判断は裁判所に委ねられますが、現時点の解釈の目安として広く参照されています。ポイントは、「開発・学習段階」と「生成・利用段階」を分けて考えることです。

開発・学習段階:原則として許諾なく学習できるが、例外がある

著作権法第30条の4により、AIの学習のように、作品を「楽しむ(享受する)」目的ではない利用は、原則として著作権者の許諾なく行えます。ただし、次のような場合は例外になりうるとされています。

  • 享受目的が併存する場合:学習データに含まれる作品の創作的な表現を、そのまま出力させることを目的とした追加学習など
  • 著作権者の利益を不当に害する場合:海賊版と知りながら学習データを集めることは、厳に慎むべきとされています

一般の企業でも、社内文書を検索して答えるAI(RAG)を作る場合は注意が必要です。RAGで他人の著作物を検索対象に入れ、その内容を回答に出す場合、「軽微」な利用を超えれば原則として著作権者の許諾が必要とされています。

生成・利用段階:通常の著作権侵害と同じ基準で判断

AIで生成したものを使う場面では、人が作ったものと同じく、「類似性」(既存の作品の創作的な表現と似ているか)と「依拠性」(既存の作品を元にしたか)の両方があれば、著作権侵害になりえます。

  • 作風・画風が似ているだけなら侵害にならない:作風や画風はアイデアであり、表現が似ていなければ侵害にはならないとされています
  • 既存の作品を入力した場合は依拠性が認められる:画像を入力して似た画像を生成させる、作品名を指定して生成させる、といった場合です
  • 利用者が知らなくても依拠性が推認されうる:その作品がAIの学習データに含まれていた場合、似た生成物が出れば、通常は依拠性があったと推認されるとされています

AIで作ったものに著作権はあるか

AIが自律的に生成したものは著作物にはならず、著作権は発生しないとされています。一方、人がAIを道具として使い、創作的に関与したと認められれば、著作物になりえます。判断の要素としては、創作的な表現を具体的に示す詳細な指示、生成物を確認して指示を直す試行錯誤、複数の生成物からの選択などが挙げられています。また、AIの生成物に人が創作的な加筆・修正をした部分には、通常、著作物性が認められるとされています。

実務での注意点AIで作った広告画像やロゴに著作権が発生しない場合、他社に同じようなものを使われても権利を主張しにくくなります。会社の顔になるロゴや商品デザインは、AIだけで作らず、人が創作的に関わるか、商標登録など別の保護も検討してください。文化庁は2024年7月31日に「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」も公表しており、利用者が注意すべき点が整理されています。

AI推進法とは:成立・施行と企業への影響

AI推進法の正式名称は「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(令和7年法律第53号)です。2025年5月に成立し、6月4日に公布・施行されました。人工知能基本計画や人工知能戦略本部に関する規定(第3章・第4章)は、2025年9月1日に施行され、これで全面施行となりました。

企業(活用事業者)に求められること

AIを事業で活用する会社は「活用事業者」と位置づけられています。第7条では、活用事業者は、積極的なAIの活用により事業の効率化・高度化や新産業の創出に努めるとともに、国や地方公共団体の施策に協力しなければならない、とされています。

  • 罰則はない:AI推進法は推進のための法律で、違反に対する罰金などの規定はありません
  • 国が調査し、指導・助言を行う:第16条では、国は不正な目的や不適切な方法によるAIの活用で権利侵害が生じた事案を分析し、その結果に基づいて活用事業者などに指導、助言、情報の提供などを行うとされています
  • 透明性の確保が基本理念:第3条では、AIが不正に使われると、犯罪への利用、個人情報の漏えい、著作権の侵害などを助長するおそれがあるため、透明性の確保などが必要だとしています

つまり、AI推進法によって中小企業に新しい手続きや届出が義務づけられたわけではありません。ただし、AIを不適切に使って問題を起こせば、国の調査や指導の対象になりうる、という位置づけです。

人工知能基本計画と適正性確保の指針

AI推進法に基づき、2025年12月19日に人工知能戦略本部で「人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針」が決定され、12月23日に「人工知能基本計画」が閣議決定されました。基本計画は「AIを使う」「AIを創る」「AIの信頼性を高める」「AIと協働する」の4つの基本方針を掲げ、中小企業のAI導入の後押しも含まれています。基本計画は当面毎年見直すとされており、2026年7月14日には改定版が閣議決定されています。

中小企業のAI導入に使える補助金は、次の記事で解説しています。

AI事業者ガイドラインとは:最新は第1.2版

AI事業者ガイドラインは、総務省と経済産業省が策定した、AIに関わる事業者向けの指針です。第1.0版が2024年4月に公表され、最新の第1.2版は2026年3月31日に公表されました。法的な拘束力はなく、状況に応じて更新を続ける「Living Document」とされています。

ガイドラインは、事業者を「AI開発者」「AI提供者」「AI利用者」の3つに分けています。ChatGPTなどを業務で使うだけの会社も「AI利用者」として対象になります。自社で生成AIを組み込んだシステムを顧客に提供する場合は、「AI提供者」の立場も加わります。

第1.2版の主な改定点(概要)

項目内容
AIエージェント目標達成のために自律的に行動するAIシステムとして定義し、権限の適切な設定、人間の判断の介在、操作履歴の確認などの留意点を整理
フィジカルAIロボットなど物理的に動作するAIについての記載を追加
リスクの記載AIへの心理的な依存や判断の任せすぎ、資格が必要な業務を侵害するリスクなどを追記
用語・役割の整理RAGは「学習」ではなく「推論」にあたると整理し、主にAI提供者の役割とした
出典:総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日)、同「AI事業者ガイドラインの令和7年度更新内容」(2026年3月12日)。詳細は原文で確認してください。

社内の生成AIのルールを作るときの土台として、AI利用者向けの部分は一度確認しておくとよいでしょう。社内ルールの作り方は、次の記事で解説しています。

個人情報・営業秘密:入力する情報に関わる法律

著作権以上に日常的に問題になりやすいのが、AIに入力する情報です。

  • 個人情報:個人情報保護委員会は2023年6月2日の注意喚起で、個人情報を含むプロンプト(AIへの指示文)を入力する場合は利用目的の範囲内であることを十分に確認すること、本人の同意なく個人データを入力し、それが応答の出力以外の目的で取り扱われる場合は法律違反となる可能性があるため、提供事業者が機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること、を求めています
  • 営業秘密・取引先の秘密情報:自社のノウハウや、取引先から秘密保持契約(NDA)で預かった情報を外部のAIサービスに入力すると、秘密としての管理が問われたり、契約違反になったりするおそれがあります

想定ケースで考える:AIで作った販促物の権利確認

想定ケース:従業員40名の食品卸(架空の例)この例は、よくある状況をもとにした架空のモデルケースです。実在の企業の事例ではありません。

状況:営業部門が、画像生成AIで新商品のチラシ用イラストを作り、そのまま取引先向けの販促物に使おうとしていました。担当者は「AIで作ったものだから、著作権の問題はない」と考えていました。

やったこと:社外に出す生成物の確認手順を決めました。①特定の作品名・作家名・キャラクター名を指示に入れない、②既存の画像を入力して似た画像を作らない、③完成した画像を画像検索などで既存の作品と比べる、④会社のロゴや主力商品のデザインにはAIの生成物をそのまま使わない、の4点です。判断に迷うものは、顧問弁護士に確認する流れにしました。

試算:販促物のイラストを外部に依頼すると1点あたり数日かかっていたところ、AIで案を作り社内で仕上げることで、1点あたりの制作時間を半日程度に短縮できると見込みました。一方で、確認手順に1点あたり30分程度の時間がかかる前提です。

うまくいく条件:確認手順を短く具体的にして、担当者が迷わず実行できるようにしたこと。
つまずきやすい点:既存の作品と「似ているかどうか」は担当者だけでは判断しきれないことがあります。また、AIの生成物には著作権が発生しない場合があるため、他社に似たものを使われても対抗しにくい点も理解しておく必要があります。

自社でできること・専門家に頼むこと

自社でできること社内の生成AIの利用ルールづくり、社外に出す生成物の確認手順、入力してよい情報の線引き、文化庁のチェックリストなど公的資料の確認。
弁護士など専門家に確認すること個別の生成物が著作権侵害にあたるか、顧客向けAIサービスの利用規約・免責、個人情報の取り扱い、取引先との契約。
開発会社に相談することAIを組み込んだシステムで、入力のチェック、利用記録、参照する文書の権限管理など、ルールを仕組みで守る方法。

AIを使ったシステムの開発を外部に依頼する場合は、生成物やプログラムの権利の帰属、AIの誤りによる損害の責任分担なども契約で決めておく必要があります。

無料テンプレート集
AIを含むシステムの開発を依頼する前に、要件や契約で確認したいことを整理しておくと安心です。RFP(提案依頼書)、要件定義書、保守契約チェックリストのひな形を無料テンプレート集で公開しています。
オーバーエックスのAI業務改善・AIシステム開発オーバーエックスは受託システム開発会社として、生成AIを組み込んだ業務システムの開発、社内文書を検索して答えるRAGの構築、既存システムとの連携、導入後の運用・保守に対応しています。入力チェックや利用記録、参照する文書の権限管理など、社内ルールをシステムで守る仕組みづくりもご相談ください。法的な判断が必要な部分は、お客様の顧問弁護士などと連携して進めます。詳しくはAI業務改善・AIシステム開発をご覧いただくか、お問い合わせください。

よくある質問

AIで作った文章や画像は、自由に商用利用できますか?
AIで作ったものでも、既存の作品と似ていて、それを元にしたと認められれば著作権侵害になりえます。また、使ったAIサービスの利用規約で商用利用の条件が決められていることもあります。社外に出す前に、既存の作品との類似と利用規約を確認してください。
AI推進法で、中小企業に新しい義務や届出はありますか?
AI推進法には罰則つきの義務や届出の規定はありません。活用事業者には、AIの活用に努めることと国の施策に協力することが責務として定められています。ただし、AIの不適切な利用で権利侵害が起きた場合、国が調査し、指導・助言を行う仕組みがあります。
AI事業者ガイドラインに従わないと罰せられますか?
AI事業者ガイドラインに法的な拘束力はなく、従わないことで罰則を受けることはありません。ただし、取引先や顧客からAIの安全な利用について説明を求められたときの基準になるため、社内ルールの土台として参照することをおすすめします。
社内の文書をAIに読み込ませて使うのは、著作権上問題ありませんか?
自社で作った文書であれば、通常は問題になりにくいです。一方、他社の書籍や有料の資料、新聞記事などを読み込ませて回答に使う場合は、利用の範囲によって著作権者の許諾が必要になることがあります。判断に迷う場合は、弁護士など専門家に確認してください。
法律やガイドラインは今後も変わりますか?
変わる可能性が高いです。人工知能基本計画は当面毎年見直すとされ、AI事業者ガイドラインも更新を続ける方針です。半年〜1年ごとに、社内ルールと照らし合わせて見直すことをおすすめします。

まとめ

生成AIと法律の関係は、著作権では「学習」と「生成・利用」を分けて考え、生成物を社外に出すときは既存の作品との類似に注意するのが基本です。AI推進法は推進のための法律で罰則はありませんが、国の調査・指導の仕組みがあり、AI事業者ガイドライン(第1.2版)は社内ルールづくりの土台になります。日常の実務では、個人情報や取引先の秘密情報の入力にも気をつけましょう。法律や指針は今後も変わるため、定期的な見直しが欠かせません。個別のケースの判断は、最終的には弁護士など専門家に確認してください。

参考:文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)、文化庁「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024年7月31日)、衆議院「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(令和7年法律第53号、2025年6月4日公布)、内閣府「AI法 全面施行 -次なるフェーズへ-」(2025年10月)、内閣府「人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針」(2025年12月19日)、内閣府「人工知能基本計画」(2025年12月23日閣議決定、2026年7月14日改定)、総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日)、個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023年6月2日)。

OX

TechBase 編集部(株式会社オーバーエックス)

東京・秋葉原のシステム開発会社。業務システム・Webシステム・基幹システムの受託開発、システムリプレイス、自社パッケージ開発、要件定義の支援を手がけています。オーバーエックスの特徴を見る

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