WordPress・会社サイトのサーバー移行(引っ越し)手順と注意点|DNS切替・メール・SSL・PHPで失敗しない

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サーバーの契約更新、料金の見直し、表示の遅さ、古いPHPしか使えないなどの理由で、WordPressや会社のWebサイトを別のサーバーへ引っ越す(移行する)ケースが増えています。ファイルとデータベースをコピーするだけなら難しくありませんが、実際にはDNSの切り替え、メール、SSL、PHPのバージョンなど、つまずきやすい点がいくつもあります。
この記事では、WordPressで作られた会社サイトを例に、サーバー移行の手順と、サイトやメールを止めないための注意点を、発注者・Web担当者向けに整理します。自社で作業する場合も、業者に任せる場合も、どこに注意すればよいかが分かるようにまとめました。
- サーバー移行は「新しいサーバーで動作を確認してから、DNSを切り替える」順番で進めると、サイトが止まる時間をほぼなくせます。
- 一番の落とし穴はメールです。同じサーバーでメールを使っている場合は、Webと別に移行の計画を立てます。
- 移行先のPHPのバージョンが上がると、古いテーマやプラグインが動かないことがあります。事前に確認し、必要なら移行前に更新します。
- サーバー会社の移行ツールや代行で済むサイトも多くあります。メールや独自プログラムがある場合は、範囲を確認して専門家に任せるのが安全です。
- 稼働率99.99%以上のSLA
- 毎日の自動バックアップ(14日分)
- WAF
目次
サーバー移行(引っ越し)とは
サーバー移行とは、Webサイトやメールのデータを、今使っているサーバーから別のサーバーへ移し、ドメイン(会社のURLやメールアドレス)の向き先を新しいサーバーに切り替える作業です。「サーバーの引っ越し」「サーバー移転」とも呼ばれます。
WordPressの公式ドキュメントでも、WordPressを新しいサーバーへ移すときに再インストールは必要なく、ドメインやURLを変えない場合は、ファイルとデータベースをコピーするだけで移行できることがほとんどだと説明されています。難しいのは、コピーそのものではなく、切り替えの段取りと周辺の設定です。
移行の作業は、大きく次の3つに分かれます。
移行の前に確認すること
移行の準備で一番大切なのは、今のサーバーで何が動いているかを把握することです。次の項目を確認し、一覧にしておきましょう。
- ドメインとDNSの管理先:ドメインを契約している会社と、DNS(ドメインの向き先)を設定している場所。サーバー会社とは別のことがあります
- メールの使い方:会社のメールを同じサーバーで送受信しているか。アカウント数、転送の設定、パソコンやスマートフォンの設定の方法
- PHPとWordPressのバージョン:今のバージョンと、移行先で使えるバージョン
- テーマ・プラグイン:更新が止まっているもの、独自に改造したものがないか
- 容量とデータベース:ファイルとデータベースの大きさ。移行先の容量で足りるか
- 定期実行・外部連携:cron(決まった時間に動く処理)、フォームの送信先、外部サービスとの連携、決済など
- SSL証明書:無料のSSLか、有料の証明書を使っているか。有料の場合は移行の方法
- サブドメインや別のサイト:同じサーバーに、採用サイトやキャンペーンサイトなどが同居していないか
関連記事PHPのバージョン確認方法|WordPress・サーバー管理画面・コマンドでの調べ方と結果の読み方
WordPressサイトの移行手順
ドメインを変えずに、WordPressの会社サイトを移行するときの一般的な流れです。
- 現状のバックアップを取るWordPressのファイル一式とデータベースをすべて保存する。移行に失敗しても元に戻せるようにする
- DNSのTTLを短くしておく切り替えの数時間〜前日までに、DNSの情報が保持される時間(TTL)を短くし、切り替えが早く反映されるようにする
- 新しいサーバーを準備する契約し、ドメインを追加して、PHPのバージョンやメールアカウントなどを設定する
- データをコピーするファイルをアップロードし、データベースをインポートする。データベース名やユーザーが変わる場合は wp-config.php を書き換える
- 切り替え前に動作を確認するパソコンの hosts ファイルの設定や、サーバー会社の確認用URLを使い、新しいサーバー上のサイトを表示して確認する
- DNSを切り替えるドメインの向き先を新しいサーバーに変える。切り替え中は記事の更新やフォームの受付を止めておくと、データの食い違いを防げる
- SSLを設定し、動作を確認する新しいサーバーでSSL証明書を発行し、httpsで表示できるか、フォームやメールが届くかを確認する
- 古いサーバーを解約する数日〜数週間は残しておき、問題がないことを確かめてから解約する。TTLは元の値に戻す
つまずきやすい5つの注意点
DNSの切り替えと反映時間
DNSの情報は、世界中のDNSサーバーやパソコンに一定時間保存(キャッシュ)されます。その時間を決めるのがTTL(Time to Live)で、秒単位で設定します。TTLが長いままだと、切り替え後もしばらく古いサーバーを見る人が残ります。IPアドレスを変える予定があるなら、事前にTTLを短くし、移行が終わったら元に戻すのが一般的な方法です。
メールの移行
Webとメールを同じサーバーで使っている場合、DNSを切り替えた時点で、メールの届き先も新しいサーバーに変わります。新しいサーバーにメールアカウントを作っていないと、メールが届かなくなります。切り替え前にアカウントを同じ名前で作り、必要なら古いメールのデータを移します。パソコンやスマートフォンのメールソフトの設定変更も必要になることがあるため、社内への案内も準備しておきます。
SSL(https)の再設定
無料のSSL証明書(Let’s Encryptなど)の多くは、ドメインがそのサーバーにアクセスできることを確かめてから発行されます。Let’s Encryptの説明でも、よく使われる方式(HTTP-01)は、ドメインのWebサーバーに置いたファイルを確認する仕組みです。そのため、DNSを切り替える前は証明書が発行できず、切り替え直後にhttpsで警告が出ることがあります。DNSに設定を追加して確認する方式(DNS-01)など、切り替え前に発行できる方法もあるので、移行先のサーバー会社の手順を確認しておきます。
PHPのバージョン
移行先でPHPのバージョンが上がると、古いテーマやプラグインがエラーになることがあります。逆に、古いバージョンのまま移すと、サポートが終わったPHPを使い続けることになります。PHP 8.2も2026年12月31日にサポートが終わるため、移行のついでにサポート中のバージョンへ上げる計画を立てるのがおすすめです。
関連記事PHP 8.2のサポート終了は2026年12月31日|影響と8.3・8.4への移行手順・スケジュール例
ダウンタイムとデータの食い違い
手順どおりに進めれば、サイトが完全に止まる時間はほとんどありません。ただし、DNSの反映中は古いサーバーと新しいサーバーの両方にアクセスが来ます。この間に記事を更新したり、フォームの送信データが古いサーバーに保存されたりすると、新しいサーバーに反映されません。切り替えの前後は更新を止め、アクセスの少ない時間帯を選びます。
自社でやるか、ツール・代行・業者に任せるか
移行の方法ごとの比較
| 方法 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 自社で手作業 | 社内にサーバーとWordPressに詳しい人がいる | 手順の漏れがあると、メールの不達やSSLの警告が起きやすい |
| サーバー会社の移行ツール | 標準的なWordPressサイトで、ドメインを変えない | WordPress以外のファイル、メール、DNSの切り替えは対象外のことが多い |
| サーバー会社の移転代行 | 作業の手間を減らしたい | 対象範囲(DNSの変更や動作確認が含まれるか)を事前に確認する |
| 開発会社・保守会社に依頼 | メールの移行、PHPの更新、独自プログラム、改修を伴う | 費用はかかるが、調査から確認までまとめて任せられる |
どの方法でも、DNSの切り替えのタイミングと、切り替え後の確認は自社で把握しておく必要があります。誰が、いつ、何をするかを事前に決めておきましょう。
関連記事法人向けレンタルサーバーの選び方|個人向けとの違いと、契約名義・請求書・SLA・バックアップの確認項目
移行後に確認すること
- 表示:トップページ、主要なページ、画像が正しく表示されるか。スマートフォンでも確認する
- https:証明書の警告が出ないか。httpからhttpsへの転送が効いているか
- フォームとメール:問い合わせフォームの送信、自動返信、社内のメールの送受信
- 管理画面:WordPressにログインでき、記事の更新や画像のアップロードができるか
- パーマリンク:記事のURLが変わっていないか。表示されない場合はパーマリンクの設定を保存し直す
- バックアップとセキュリティ:新しいサーバーで自動バックアップ、WAF、ログイン制限が有効になっているか
- Search Console・アクセス解析:エラーが増えていないか、計測が続いているか
関連記事企業サイトのWordPressセキュリティ対策|被害の原因と対策の優先順位、PHP更新・バックアップ・月次の保守チェック表
- 稼働率99.99%以上のSLA
- 毎日の自動バックアップ(14日分)
- WAF
移行先の候補として、法人向けのエックスサーバービジネスには、サーバー移転代行(DNSの変更や動作確認は対象外)や、各種設定を代行する設定おまかせサポートがあります。WordPressのサイトだけを移すなら、他社サーバーから移行する専用ツールと、14日分の自動バックアップ、WordPressリカバリー機能を備えたXServer for WordPressもあります。いずれも2026年10月時点の公式サイトの情報で、料金と代行の条件は公式サイトで確認してください。
よくある質問
- 移行中にサイトは止まりますか?
- 新しいサーバーで動作を確認してからDNSを切り替えれば、完全に止まる時間はほとんどありません。ただし、切り替えの前後は記事の更新を止めるなど、データの食い違いを防ぐ工夫が必要です。
- DNSの切り替えは、どのくらいで反映されますか?
- TTLの設定や、利用者側のDNSのキャッシュによって変わります。事前にTTLを短くしておくと早く反映されやすくなります。反映が終わるまでは、古いサーバーも解約せずに残しておきます。
- メールアドレスは変わりますか?
- ドメインを変えなければ、メールアドレスは変わりません。ただし、新しいサーバーに同じアカウントを作り、メールソフトの受信・送信サーバーの設定を変える必要がある場合があります。
- 移行ツールを使えば、すべて自動で終わりますか?
- 多くのツールはWordPressのファイルとデータベースを対象にしています。メール、WordPress以外のファイル、DNSの切り替えは別の作業になることが多いため、対象範囲を確認してください。
- 移行のついでにPHPを上げても大丈夫ですか?
- テーマやプラグインが新しいPHPに対応していれば問題ありません。対応していない場合はエラーになるため、事前にテスト環境や移行先で動作を確認してから切り替えます。
まとめ
WordPressや会社サイトのサーバー移行は、データのコピーよりも、DNSの切り替え、メール、SSL、PHPのバージョンの段取りが成否を分けます。現状を一覧にし、新しいサーバーで動作を確認してから切り替え、古いサーバーはしばらく残しておく。この順番を守れば、サイトやメールを止めずに移行できます。メールや独自プログラムがある場合は、無理をせず専門家に相談してください。
関連記事Webサイトの改ざん・不正アクセスの確認方法と初動対応|症状・調べ方・個人情報保護委員会への報告と相談窓口
参考:WordPress.org 日本語「WordPress の引越し」、DigiCert「TTLとは」、Let’s Encrypt「Challenge Types」、エックスサーバービジネス 公式サイト、XServer for WordPress 公式サイト(いずれも2026年10月時点)。
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