発注者向けシステム開発用語集

「打ち合わせで開発会社が使う言葉がわからず、聞き返しにくい」「見積書や契約書に並ぶ略語の意味がつかめない」。システム開発には独特の専門用語が多く、初めて発注する担当者にとっては大きな壁になります。わからない言葉をそのままにしておくと、見積もりの比較や要件の判断を誤る原因にもなりかねません。
この記事では、発注者がシステム開発の各場面で出会いやすい用語を、「工程」「費用・契約」「体制・開発手法」「技術・インフラ」「運用・保守」の5つの分野に分けて、発注者目線でわかりやすく解説します。打ち合わせ前の確認や、社内説明の資料作りにお役立てください。
- 発注者がまず押さえるべきなのは、工程・費用・契約に関する用語です。見積もりや契約の判断に直結します。
- 工程名は会社によって呼び方が異なるため、何を作り何を承認する工程かで理解するのがコツです。
- 「人月」「準委任」「検収」などお金と責任に関わる用語は、あいまいなまま契約しないことが大切です。
- わからない用語は遠慮せず確認し、業務の言葉で説明してもらうことがトラブル防止につながります。
目次
システム開発用語とは?発注者が押さえるべき範囲
システム開発用語とは、システムの企画・開発・運用の各場面で、開発会社やIT部門の担当者が使う専門用語や略語のことです。技術的な用語は膨大にありますが、発注者がすべてを覚える必要はありません。重要なのは、見積もり・契約・進捗確認・検収といった発注者が判断を求められる場面で使われる用語を正しく理解することです。
発注者にとっての用語の優先度
工程に関する用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 要件定義(RD) | システムで何を実現するかを決め、発注者と開発者で合意する工程。成果物は要件定義書。 |
| 基本設計(外部設計) | 画面・帳票・データなど、利用者から見える部分の仕様を決める工程。 |
| 詳細設計(内部設計) | プログラムの内部構造や処理の仕組みを決める工程。主に開発会社が担当。 |
| 製造(実装・コーディング) | 設計書をもとにプログラムを作る工程。 |
| 単体テスト・結合テスト | 部品ごと、および部品同士をつないだときに正しく動くかを確認するテスト。 |
| 総合テスト(システムテスト) | システム全体が要件どおり動くかを開発会社が確認するテスト。 |
| 受入テスト(UAT) | 発注者が業務で使えるかを確認するテスト。検収の前提になる。 |
| リリース・本番稼働 | システムを実際の業務で使い始めること。 |
| 上流工程・下流工程 | 要件定義・設計など前半の工程を上流、製造・テストなど後半を下流と呼ぶ。 |
費用・契約に関する用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 人月(にんげつ) | 1人が1か月働く作業量の単位。3人で2か月なら6人月。見積もりの基本単位。 |
| 人月単価 | 1人月あたりの費用。目安はPM100万〜160万円、SE80万〜120万円、PG60万〜100万円程度。 |
| RFP(提案依頼書) | 発注者が開発会社に提案と見積もりを依頼するために作る文書。 |
| 概算見積もり・詳細見積もり | 要件が固まる前のおおよその見積もりと、要件確定後の精度の高い見積もり。 |
| 請負契約 | 成果物の完成に対して報酬を支払う契約。完成責任は受注者にある。 |
| 準委任契約 | 作業の遂行に対して報酬を支払う契約。要件定義や保守で使われることが多い。 |
| 検収 | 納品物を確認し、受け取ったことを認める手続き。多くの場合、支払いの起点になる。 |
| 契約不適合責任 | 納品物が契約内容に合わない場合に受注者が負う責任。以前は瑕疵担保責任と呼ばれた。 |
| NDA(秘密保持契約) | 相談や提案の過程で共有する情報を外部に漏らさないための契約。 |
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体制・開発手法に関する用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| PM(プロジェクトマネージャー) | プロジェクト全体の計画、進捗、品質、予算に責任を持つ管理者。 |
| SE(システムエンジニア) | 要件の整理や設計を担う技術者。発注者との打ち合わせに参加することが多い。 |
| PG(プログラマー) | 設計書に基づいてプログラムを作る技術者。 |
| ウォーターフォール | 要件定義から順に工程を進め、原則として前の工程に戻らない開発手法。 |
| アジャイル | 短い期間で設計・開発・テストを繰り返し、優先度の高い機能から作る開発手法。 |
| スクラッチ開発 | 既製品を使わず、業務に合わせて一から開発する手法。 |
| パッケージ・SaaS | 既製のソフトウェア。SaaSはインターネット経由で利用する形態。 |
| PoC(概念実証) | 本格導入の前に、実現可能性と効果を小さく検証する取り組み。 |
| SES | 技術者の労働力を提供する契約形態。成果物ではなく作業時間に対して支払う。 |
技術・インフラに関する用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| サーバー | システムのプログラムやデータを置き、利用者の要求に応えるコンピューター。 |
| オンプレミス・クラウド | 自社でサーバーを持って運用する形態と、インターネット上のサービスを借りる形態。 |
| データベース(DB) | データを整理して保存し、検索や更新をしやすくする仕組み。 |
| API | システム同士がデータや機能をやり取りするための接続口。システム連携で使われる。 |
| フロントエンド・バックエンド | 利用者が操作する画面側の仕組みと、裏側でデータ処理を行う仕組み。 |
| 本番環境・テスト環境 | 実際の業務で使う環境と、確認のために使う別の環境。 |
運用・保守に関する用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 運用 | システムを日々安定して動かすための作業。監視、バックアップ、利用者対応など。 |
| 保守 | 障害対応、不具合修正、法改正や環境変化への対応などの改修作業。 |
| SLA | サービスの品質水準に関する合意。稼働率や障害時の対応時間などを定める。 |
| リプレイス | 既存システムを新しいシステムに置き換えること。 |
| データ移行 | 旧システムや Excel のデータを新システムに移すこと。 |
| ブラックボックス化 | 仕様や中身が誰にもわからなくなり、修正や移行が困難になった状態。 |
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打ち合わせで出やすい言い回し
用語そのものに加えて、打ち合わせや議事録で使われる独特の言い回しも押さえておくと、会話の意図をつかみやすくなります。
| 言い回し | 意味と発注者の対応 |
|---|---|
| 仕様です | 設計どおりの動きであり不具合ではない、という意味。要件定義書・設計書の記載を確認しましょう。 |
| スコープ外です | 契約や要件の範囲に含まれていないという意味。対応する場合は追加費用の見積もりを依頼します。 |
| 工数が膨らみます | 作業量が増え、費用や期間に影響するという意味。どれくらい増えるのかを数字で確認しましょう。 |
| フィックスしてください | 内容を確定してほしいという依頼。確定後の変更は手戻りになるため、社内確認を済ませてから回答します。 |
| リスケ | スケジュールの再調整。理由と、稼働日への影響を必ず確認します。 |
| バッファ | 予定外の事態に備えて確保している予備の期間や費用。 |
特に「仕様です」と「スコープ外です」は、費用や責任の範囲に直結する言葉です。言われたときに納得できない場合は、根拠となる文書の該当箇所を示してもらうと、冷静に話し合えます。
よくある質問
- 発注者は技術用語をどこまで理解する必要がありますか?
- 技術の詳細まで理解する必要はありません。見積もり、契約、工程、検収など、発注者が判断する場面で使われる用語を押さえておけば十分です。
- 打ち合わせでわからない用語が出たらどうすればよいですか?
- その場で遠慮せず質問しましょう。理解しないまま承認すると、後から認識のずれが発覚する原因になります。業務の言葉で説明してもらうよう依頼するのも有効です。
- 人月とはどういう意味ですか?
- 1人が1か月作業する量を表す単位です。システム開発の見積もりは、必要な人月数に人月単価を掛けて算出されることが一般的です。
まとめ
システム開発用語は膨大ですが、発注者がまず押さえるべきなのは工程と費用・契約に関する用語です。呼び方が会社によって異なることも踏まえ、わからない言葉はその都度確認しながら進めることが、見積もり比較や要件判断の精度を高めます。
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