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基幹システムのクラウド化|メリットと移行手順

基幹システムのクラウド化|メリットと移行手順

社内のサーバールームで動いている基幹システムについて、「サーバーの保守期限が近い」「担当者が1人しかいない」「テレワークから使えない」といった課題を抱えていませんか。こうした背景から、基幹システムのクラウド化を検討する企業が増えています。一方で、「クラウドにすれば安くなるのか」「セキュリティは大丈夫か」「何から始めればよいか」がわからず、判断を先送りにしているケースも多く見られます。

この記事では、基幹システムのクラウド化とは何か、メリット・デメリット、移行方式の選び方、移行の手順と費用の考え方を発注者の目線で解説します。

この記事の結論
  • 基幹システムのクラウド化には、サーバーをクラウドに移す方法と、SaaSや作り直しに乗り換える方法があります。
  • 主なメリットはハードウェア管理からの解放、災害対策、場所を選ばない利用、拡張のしやすさです。
  • 費用は必ずしも安くなるとは限りません。5年程度の総費用で比較しましょう。
  • 移行は現状調査→方式選定→設計→移行リハーサル→本番切り替えの順で、データ移行と連携の確認が要です。
目次
  1. 基幹システムのクラウド化とは
  2. 基幹システムをクラウド化するメリット・デメリット
  3. クラウド化を検討すべきサイン
  4. クラウド化の3つの移行方式
  5. 基幹システムのクラウド移行手順
  6. 見落としやすい確認ポイント
  7. 移行後の運用で決めておくこと
  8. クラウド化の費用の考え方
  9. よくある質問
  10. まとめ

基幹システムのクラウド化とは

基幹システムのクラウド化とは、自社内のサーバー(オンプレミス)で運用している販売・購買・在庫・会計などの基幹システムを、インターネット経由で利用するクラウド環境へ移すことです。クラウド環境には、AWSやMicrosoft Azureなどのサーバー基盤を借りる「IaaS」と、完成したアプリケーションを利用する「SaaS」などの形態があります。

クラウド化は「サーバーの置き場所を変える」だけの場合もあれば、「システム自体を作り直す・乗り換える」場合もあります。どこまで変えるかによって、費用・期間・得られる効果が大きく変わる点を最初に押さえておきましょう。

基幹システムをクラウド化するメリット・デメリット

メリット

  • サーバー機器の購入・更新・故障対応が不要になる
  • データセンターの設備で災害・停電への備えがしやすい
  • 拠点や自宅など場所を選ばずに利用できる
  • 利用者やデータ量の増減に合わせて性能を調整できる

デメリット・注意点

  • 利用料が毎月かかり、構成次第では割高になる
  • インターネット回線の品質に操作性が左右される
  • 古いシステムはそのままではクラウドで動かないことがある
  • セキュリティ設定の責任は利用者側にも残る

とくに誤解が多いのがセキュリティです。クラウド事業者は基盤の安全性を担いますが、アクセス権限の設定、パスワード管理、データのバックアップ方針などは利用者側の責任です。この「責任共有」の考え方を理解したうえで、設定と運用を設計する必要があります。

クラウド化を検討すべきサイン

  • サーバーの更新時期:機器の保守期限やOSのサポート終了が数年以内に迫っている
  • 管理者の不在:サーバーの管理が特定の1人に依存している、または外部任せで中身がわからない
  • 利用場所の制約:拠点や外出先、自宅から基幹システムを使いたいという要望が多い
  • 災害への備え:社内にしかデータがなく、被災時の事業継続に不安がある

複数に当てはまる場合は、次のサーバー更新を待たずに検討を始めることをおすすめします。

クラウド化の3つの移行方式

基幹システムのクラウド化は、既存システムをどの程度変えるかで大きく3つの方式に分かれます。

方式内容費用・期間向いているケース
そのまま移す(リホスト)プログラムはほぼ変えず、クラウド上のサーバーに載せ替える比較的小さいシステムの機能には満足しており、サーバー老朽化が主な課題
作り直す(リビルド)業務を見直し、クラウド前提の構成で新たに開発する大きい機能面の不満も大きく、今後の拡張性を重視
乗り換える(SaaS移行)クラウドで提供される既製サービスに切り替える初期は小さめ、月額が継続業務が一般的で、製品に合わせられる

リホストは早く・安く移せる一方、古い仕組みの課題はそのまま残ります。システムの寿命を延ばす「時間稼ぎ」と割り切り、その間に作り直しを計画するという段階的な考え方もあります。各方式の詳細は次の記事で解説しています。

基幹システムのクラウド移行手順

クラウド移行の5ステップ

  1. 現状調査サーバー構成、OS・データベースのバージョン、利用者数、他システムとの連携、データ量を洗い出す
  2. 方式選定と費用比較リホスト・リビルド・SaaS移行の候補を、5年程度の総費用と効果で比較する
  3. クラウド環境の設計ネットワーク、アクセス権限、バックアップ、監視、障害時の復旧手順を設計する
  4. 移行リハーサルテスト環境へデータを移し、業務操作・連携・性能を確認する
  5. 本番切り替えと運用開始業務の少ない時期に切り替え、旧環境は一定期間残して切り戻しに備える
他システムやプリンター・ハンディ端末との連携は、見落とすと稼働後に業務が止まるため現状調査で必ず確認します。

見落としやすい確認ポイント

  • 周辺機器・連携:帳票プリンター、バーコード端末、取引先とのEDIなどがクラウド環境でも動くか
  • 回線:拠点のインターネット回線の速度と、回線障害時の代替手段
  • ライセンス:データベースやミドルウェアのライセンスがクラウド環境で使えるか
  • データの保管場所:取引先との契約や業界ルールで、国内保管などの条件がないか
  • 運用体制:クラウドの監視・障害対応・費用管理を誰が担うか

データ移行の詳しい進め方は次の記事を参考にしてください。

移行後の運用で決めておくこと

クラウド化はサーバー機器の管理から解放される一方、クラウド特有の運用作業が新たに生まれます。代表的なのは、利用料の毎月の確認、アクセス権限の棚卸し、バックアップの復元テスト、クラウド事業者からの仕様変更やメンテナンス通知への対応です。これらを社内で担うのか、開発会社や運用会社に委託するのかを移行前に決めておかないと、「移したものの誰も面倒を見ていない」状態になりかねません。

また、障害発生時の連絡経路も見直しが必要です。クラウド基盤の障害なのか、アプリケーションの不具合なのか、社内回線の問題なのかを切り分ける手順を用意しておくと、復旧までの時間を短縮できます。

クラウド化の費用の考え方

クラウド化で費用が下がるかどうかは、現在のオンプレミス環境のコストと、クラウドの構成次第です。比較の際は、サーバー購入費だけでなく、保守契約・電気代・設置場所・担当者の作業時間も含めて考えましょう。

オンプレ:機器更新(5年ごと)一括
オンプレ:保守・電気・管理工数毎年
クラウド:利用料毎月
クラウド:移行費用初回

上の図は費用の構成を比べる際のイメージで、実際の金額は構成や規模によって大きく異なります。クラウドは使った分だけ費用がかかるため、使っていないサーバーを止める、性能を適正化するといった運用で費用を抑える余地があります。逆に、初期設定のまま放置すると想定より高くなることもあるため、移行後も定期的に見直す体制が必要です。

オーバーエックスの見解オーバーエックスでは、クラウド化のご相談を受けた際、まず「サーバーを移したいのか、業務の課題を解決したいのか」を確認しています。サーバー老朽化だけが課題ならリホストで十分なこともありますし、機能面の不満が大きいなら作り直しを検討した方が結果的に費用対効果が高くなります。現状調査から方式の比較、移行後の運用設計までを一貫してご支援しています。

よくある質問

基幹システムをクラウド化するとセキュリティは下がりますか?
適切に設定すれば、社内サーバーより安全性を高められる場合も多くあります。ただし、アクセス権限や多要素認証、バックアップなどの設定は利用者側の責任なので、設計と運用ルールをしっかり決めることが前提です。
古い基幹システムでもクラウドに移せますか?
OSやデータベースのバージョンによっては、そのままではクラウドで動かないことがあります。その場合は、バージョンアップを伴う移行や、作り直しを検討します。まず現状調査で動作条件を確認しましょう。
クラウド移行にはどのくらいの期間がかかりますか?
そのまま載せ替える場合は数か月程度、作り直す場合は1年以上かかることもあり、方式と規模によって大きく異なります。業務の繁忙期を避けて切り替え時期を決めることも大切です。

まとめ

基幹システムのクラウド化は、サーバー管理の負担軽減や災害対策、場所を選ばない利用といったメリットがある一方、費用が必ず下がるわけではありません。「そのまま移す」「作り直す」「乗り換える」の3方式から、課題と総費用に見合うものを選び、周辺機器や連携を含めた現状調査から着実に進めましょう。

OX

TechBase 編集部(株式会社オーバーエックス)

東京・秋葉原のシステム開発会社。業務システム・Webシステム・基幹システムの受託開発、自社パッケージ開発、ITコンサルティングを手がけています。オーバーエックスの特徴を見る

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