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システム開発の見積もり手法|工数積み上げ・ファンクションポイント法・類推見積もりの違い

システム開発の見積もり手法|工数積み上げ・ファンクションポイント法・類推見積もりの違い

システム開発の見積もりを受け取ったとき、「この金額は何を根拠に出しているのか」と疑問に思ったことはないでしょうか。開発会社によって金額が大きく違うのは、規模の測り方や、ファンクションポイント法・類推見積もりといった見積もり手法が異なることも一因です。見積もり手法を知っておくと、見積の根拠を質問しやすくなり、比較の精度も上がります。

この記事では、システム開発の見積手法として代表的な工数積み上げ法(ボトムアップ見積もり)、ファンクションポイント法、類推見積もりの違いを中心に、三点見積もりなどの補助的な手法、工程ごとの使い分け、発注者が見積の根拠を確認するポイントまでを解説します。

この記事の結論
  • 代表的な見積もり手法は類推見積もり・ファンクションポイント法・工数積み上げ法の3つ。精度と手間のバランスが異なる。
  • 企画段階では類推、要件定義後はファンクションポイント法や積み上げと、工程が進むほど精度の高い手法に切り替えるのが一般的。
  • どの手法でも最終的には「工数(人月)×単価」で金額に換算される。根拠は工数の出し方にある。
  • 発注者は、どの手法で、何を前提に、どこまでの範囲を見積もったかを確認すると、見積もりの妥当性を判断しやすい。
目次
  1. システム開発の見積もり手法とは
  2. 代表的な3つの見積もり手法
  3. 類推見積もり:過去の実績から推測する
  4. ファンクションポイント法:機能の量で規模を測る
  5. 工数積み上げ法:作業を分解して足し合わせる
  6. 補助的に使われる見積もり手法
  7. 工程ごとの見積もり手法の使い分け
  8. 発注者が見積の根拠を確認するポイント
  9. よくある質問
  10. まとめ

システム開発の見積もり手法とは

システム開発の見積もり手法とは、開発に必要な作業量(工数)を算出し、費用と期間を予測するための考え方や計算方法のことです。見積もり金額の多くは「工数(人月)×人月単価」で計算されるため、手法の違いは主に「工数をどう出すか」の違いといえます。人月とは、1人が1か月働いたときの作業量を表す単位です。

見積もり手法は大きく、過去の似た案件から推測する方法、システムの機能の量から規模を測る方法、作業を細かく分解して積み上げる方法に分けられます。

見積もり金額が決まるまでの流れ

  1. 規模を測る機能数・画面数・帳票数、ファンクションポイントなどでシステムの大きさを把握する
  2. 工数に換算する規模に生産性(1人月でこなせる量)を当てはめる、または作業ごとに工数を積み上げる
  3. リスクを加味する不確実な要素や技術的な難しさに応じて予備の工数を見込む
  4. 金額に換算する工数に職種ごとの人月単価を掛け、管理費などを加えて金額を出す
どの手法を使っても、最終的には工数と単価の掛け算で金額になります。

代表的な3つの見積もり手法

手法考え方精度手間主に使う時期
類推見積もり(トップダウン)過去の似たシステムの実績から全体を推測する低〜中小企画・予算取りの段階
ファンクションポイント法データや入出力の数と複雑さから機能の規模を測る中中要件定義〜基本設計の段階
工数積み上げ法(ボトムアップ)作業を細かく分解し、それぞれの工数を足し合わせる中〜高大要件が固まった段階

類推見積もり:過去の実績から推測する

類推見積もりは、「以前に作った在庫管理システムは約〇人月だったので、今回も同程度だろう」というように、過去の類似案件をもとに全体の規模を推測する手法です。短時間で概算を出せるため、企画段階や予算を確保する段階に向いています。

一方で、比較対象の案件と今回の案件の違いをどこまで考慮できるかで精度が大きく変わります。経験の豊富な担当者が見積もれば実態に近づきますが、根拠が「経験」に寄るため、発注者から見ると内訳がわかりにくい点が弱みです。

ファンクションポイント法:機能の量で規模を測る

ファンクションポイント法(FP法)は、システムが持つ機能をユーザーの視点で数え、その複雑さに応じて点数(ファンクションポイント)をつけて規模を測る手法です。代表的な方式では、次の5種類の要素を数えます。

  • 内部論理ファイル:システム内で管理するデータのまとまり(顧客マスタ、受注データなど)
  • 外部インタフェースファイル:他のシステムが管理し、参照するデータ
  • 外部入力:データを登録・更新する画面や取り込み処理
  • 外部出力:計算や加工を伴う帳票・画面出力
  • 外部照会:データを検索して表示するだけの画面

算出したファンクションポイントを、過去の実績から求めた生産性(1人月あたりのファンクションポイント)で割ると工数が出ます。プログラミング言語や作り方に左右されにくく、発注者と開発会社が同じ物差しで規模を話し合えるのが利点です。ただし、正確に数えるには要件がある程度固まっている必要があり、計測にも手間がかかります。データの数だけで簡易的に規模を推計する方法もあり、要件定義の途中段階で使われることがあります。

工数積み上げ法:作業を分解して足し合わせる

工数積み上げ法は、WBS(作業分解構成図)と呼ばれる一覧で作業を細かく分解し、画面1つ、帳票1つ、テスト1項目といった単位で工数を見積もって合計する手法です。発注者にとっては「どの作業に何人日かかるか」が見えるため、最も根拠を確認しやすい見積もりといえます。

ただし、分解した作業に漏れがあると全体が過小になり、反対に1つずつ余裕を持たせると全体が過大になりがちです。また、要件が固まっていない段階では分解自体ができないため、使える時期が限られます。

補助的に使われる見積もり手法

上記の3つに加えて、精度を高めたりリスクを見込んだりするために、次のような手法が組み合わせて使われます。

組み合わせて使われる主な手法

三点見積もり楽観値・最可能値・悲観値の3つを出し、(楽観値+最可能値×4+悲観値)÷6などで期待値を求める。不確実な作業のぶれを見込める。
パラメトリック見積もり画面数や帳票数など規模の指標に、過去実績から求めた係数を掛けて工数を出す。COCOMOなどの見積もりモデルもこの一種。
標準タスク法工程ごとの標準的な作業と工数の目安を社内で定め、それに当てはめて見積もる。積み上げ法の効率化として使われる。
実務では、複数の手法で出した結果を突き合わせて妥当性を確かめることが多くあります。

三点見積もりは、例えば「順調なら10人日、普通なら15人日、問題が起きれば26人日」という作業なら、(10+15×4+26)÷6=16人日と計算します。最可能値より少し大きい値になるのは、遅れるリスクのほうが大きいという現実を反映しているためです。

工程ごとの見積もり手法の使い分け

システム開発の見積もりは、一度出したら終わりではありません。プロジェクトの初期ほど不確実な要素が多く、金額のぶれ幅も大きくなります。そのため、工程が進むごとに手法を切り替え、見積もりを更新していくのが一般的です。

工程ごとの見積もりのぶれ幅(イメージ)

企画・構想(類推)大
要件定義中(簡易FP・類推)中〜大
要件定義後(FP・積み上げ)中
基本設計後(積み上げ)小
情報が増えるほど見積もりの精度は上がります。数値は傾向を示すイメージです。

この考え方から、要件定義と設計・開発を分けて契約する「多段階契約」がよく採用されます。最初に要件定義だけを準委任契約で依頼し、要件が固まってから設計・開発を請負契約で見積もる方法です。初期の概算で全体を確定させるより、発注者・開発会社の双方にとってリスクを抑えやすくなります。

発注者が見積の根拠を確認するポイント

見積もり手法を理解したうえで、受け取った見積書については次の点を確認すると、根拠の弱い部分や認識のずれを早めに見つけられます。

  • どの手法で算出したか:類推による概算なのか、機能ごとの積み上げなのかで、金額の確からしさが変わります。
  • 前提条件と見積もり範囲:対象機能、対応ブラウザ、データ移行、テストの範囲、保守の有無など、何が含まれ何が含まれないかを確認します。
  • 工程別・機能別の工数:要件定義、設計、開発、テスト、移行ごとの工数配分に極端な偏りがないかを見ます。
  • 人月単価と体制:PM・SE・PGの単価と人数が妥当か。目安はPMで100万〜160万円、SEで80万〜120万円、PGで60万〜100万円程度です。
  • リスクの見込み方:不確実な部分にどの程度の予備を見込んでいるか、その理由を説明できるかを確認します。
安い見積もりが良いとは限らない見積もり金額の差は、手法の違いだけでなく「何を前提にしているか」の違いから生まれることが多くあります。前提が甘い見積もりは、後から追加費用や納期遅延につながりやすいため、金額だけで判断せず根拠を確認しましょう。
オーバーエックスの見積もりの考え方オーバーエックスでは、ご相談の初期段階では概算の幅をお伝えし、要件が固まった段階で機能ごとの工数を積み上げた見積もりをご提示しています。見積書では前提条件と対象外の作業を明記し、金額の根拠をご説明したうえで判断していただくことを大切にしています。要件がまだ固まっていない場合は、要件定義から一緒に進めることもできます。

よくある質問

ファンクションポイント法とは何ですか?
ファンクションポイント法は、システムが扱うデータや入力・出力・照会などの機能を数え、複雑さに応じた点数で規模を測る見積もり手法です。プログラミング言語に左右されにくく、発注者と開発会社が同じ基準で規模を話し合えるのが特徴です。
工数見積もりの手法で最も精度が高いのはどれですか?
一般に、要件が固まった段階で作業を細かく分解する工数積み上げ法が最も精度を高めやすい手法です。ただし作業の漏れがあると過小見積もりになるため、ファンクションポイント法や類推見積もりと組み合わせて妥当性を確かめるのが実務的です。
類推見積もりとファンクションポイント法の違いは?
類推見積もりは過去の似た案件の実績をもとに全体を推測する方法で、早く出せる反面、根拠が経験に寄ります。ファンクションポイント法は機能を数えて規模を測るため、根拠を示しやすい反面、要件がある程度固まっていないと使えません。
見積の根拠を開発会社に聞いても失礼になりませんか?
失礼にはなりません。見積もりの手法や前提条件を確認することは、認識のずれを防ぎ、後の追加費用やトラブルを避けるために役立ちます。根拠を丁寧に説明してくれるかどうかは、開発会社を選ぶ判断材料にもなります。

まとめ

システム開発の見積もり手法には、過去の実績から推測する類推見積もり、機能の量で規模を測るファンクションポイント法、作業を分解して足し合わせる工数積み上げ法などがあります。どの手法も最終的には工数と人月単価の掛け算で金額になり、工程が進むほど精度の高い手法に切り替えていくのが一般的です。見積書を受け取ったら、手法・前提条件・範囲・工数の内訳を確認し、金額だけでなく根拠で比較しましょう。

OX

TechBase 編集部(株式会社オーバーエックス)

東京・秋葉原のシステム開発会社。業務システム・Webシステム・基幹システムの受託開発、自社パッケージ開発、ITコンサルティングを手がけています。オーバーエックスの特徴を見る

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